荒川区民に「荒川グルメといえば?」と尋ねると、多くの人が「もんじゃ焼き」と答えます。
荒川区はもんじゃ発祥の地ですよ、と区民は聞かされて育つのですが、都内に住む多くの人は「もんじゃ焼きと言えば月島(東京都中央区)」と思っていることでしょう。発祥であろうがなかろうが、荒川区のもんじゃは美味しい。下町の雰囲気も含めてもやはり一番美味しいのです。
食の楽しみ方はひとそれぞれ。特別な何かは無いけれど、ちょっと個性的だったり、変わっていたり、ほっとひと息つける場所。そんなモノづくりの街・荒川を支える「荒川グルメ」を探訪してご紹介していくコーナー、それが「荒川グルメ探訪」です。
FOOD+Bar ROJI
東京メトロ千代田線・京成電鉄京成本線・都電荒川線(東京さくらトラム)の3つの路線が行き交う荒川区町屋。
駅前にはスーパーやコンビニ、飲食店、病院なども多く利便性も高いことから、近年ではファミリー向けのマンションも多くなりました。荒川区の中でも居住地として人気の高い町屋エリアは、昼夜を問わず活気があります。
今回はそんな町屋の路地裏に、ひっそりとたたずむ隠れ家的な人気スポット「FOOD+Bar ROJI」をご紹介します。
町屋の路地裏の“Chill out”できる秘密基地
優しい光のかわいい店舗サイン。
「FOOD+Bar ROJI」は名前の通り町屋のメインストリートから外れた路地裏にあります。路地裏と聞くと、入り組んだ住宅街を歩き迷いながらたどり着くようなイメージがありますが、ご安心ください。ROJIは駅から歩いて2分ほどの場所。
アクセスの良さはもちろんのこと、仕事終わりにサクっと1杯飲みたい方、落ち着いた空間の中でゆっくりとお酒を楽しみたい方、2軒目で訪れる方など、常連さんも多い評判のバーです。
ウッド調でナチュラルな雰囲気の店舗外観。
店内も穏やかな雰囲気が漂う。照明の反射にうっとり。
ガラス張りのオープンな外観から見える柔らかな光に誘われながら店内に入ると、居心地の良さそうな空間が広がります。左手には程よい大きさのバーカウンター。ペンダントライトの光が天井や壁に反射してキラキラと輝いています。
座り心地良さそうな大きなソファ。ゆっくり滞在できそう!
右手には大きなファブリックソファが2つ、チェック柄が空間のアクセントになっていてオーナーさんのセンスの良さが伺えます。こんなすてきな空間で飲むお酒こそ、大人の贅沢だろうな~…と想像を膨らませながら、ROJIオーナーの轟さんにお話を伺いました。
自分の地元で
落ち着いて飲める空間にしたかった
バーカウンターの後ろに並んだたくさんのボトル。 アルコールのジャンルも幅広い!
オーナーの轟さんがこのお店を始めたのは今から16年前の2007年。
ご自身がもともと荒川区東尾久出身だったことから地元近辺での開業を考え、湯島や谷中、根津、千駄木という、いわゆる「谷根千」も視野に入れたお店を探していたそうです。しかし、やはり谷根千は激戦区…人気エリアのため家賃も少々お高めだったことから最終的に町屋に決めたとのこと。
そして、お店を探す時にこだわったのが”路地裏”。
大通りを避けた隠れ家的なお店を考えていたため、きっと町屋のこの物件が理想に近かったのでしょう。他にもいろいろと内見したそうですが、1軒目に訪れたこのお店を気に入り契約に至ったとお話してくれました。ROJIは空間にも轟さんのこだわりのポイントがあります。お店としては珍しいロフト型の半個室や、ロフト下を活用した小上がりスペースなど。このおもしろい空間づくりができたのには理由があります。
実はこのお店、ビルのオーナーさんがスナックにする予定で作っていたものでした。今のお店の真ん中を壁で仕切り2店舗募集する予定だったところ、轟さんが壁の施工前に借りたことで自身でいろいろと手を加えることができたのだそう。貸し出しされていない新築物件でありながらも紹介してくれた不動産屋さんのご厚意もあり「とてもラッキーだった」と語ってくれました。
そのこだわりの空間をご覧ください。
まずは半個室のロフト席。店内奥の階段を上がると広すぎず狭すぎずのちょうど良い空間。小窓がついているので本当に秘密基地にいるような気分で店内を見渡せます。
こんなところに階段が…!
わくわくするロフト席!ここだけ呼び鈴がある!
もうひとつはロフト下の靴を脱いでくつろげる小上がりスペース。ぎゅぎゅっと詰めれば6人ほどは座れそう。まるで友達のおうちに遊びに来たかのように過ごすことができます。
友達の家に遊びにきたみたいにくつろげそう〜♪
轟さんの考えるお店のコンセプトがとても明確だからこそできる空間づくり。ロフト席や個室希望での予約が入ることもしばしばあるとのことです。この空間で友達とお酒を飲みながらおしゃべりする時間はきっと楽しいはず。近年よく耳にする“Chill out”(チルアウト)と言う言葉がぴったりな気がしました!
サーバーから注ぐ生シードル
そしてROJI厳選、豊富な梅酒が常時20種!
ROJIには女性スタッフの方もいらっしゃいます!
お話の後はROJIおすすめのお酒とフードをいただきます。
轟さんに伺ってみたところ、ROJIでは梅酒を多く取りそろえているのでぜひ飲み比べてみてくださいとのこと。その他、バーカウンターをみるとビールサーバーに並んでシードル*のサーバーが!
*シードル=リンゴを発酵させて作るお酒。サーバーで飲めるお店は珍しい。
「そうなんです、うちではシードルの生も飲めるんですよ」
一時期CMや広告でたくさん取り上げられていた頃には、瓶売りのハードシードルも見かけることも多くありましたが、サーバーがあるお店はあまり見たことがありませんでした。ROJIは女性のお客さんも多いのですが、お酒のラインアップも人気の理由のひとつかもしれませんね。
キリン ハードシードル(生) ¥650(税込)
こちらがハードシードル(生シードル)!
そもそも「生シードル」って何?と思うかもしれませんが、要は生ビールと同じと思ってください。のどごし、風味、爽快感が瓶とは一味違う!さらにシードルはリンゴから作られるお酒なのでフルーティでとても飲みやすく、果実の甘味を濃く感じることができます。こういうお酒はおつまみなしの単体でも満足できるのがいいですよね。
梅酒利き酒セット ¥1,000(税込) お好きな梅酒を三つ選ぶことができます。
そして、ROJIではさまざまな梅酒を味わうことができます。
スタンダードなものから泡盛ベースの梅酒、紅茶の梅酒、スパイスを使用したちょっと変わり種の梅酒など、入れ替わりはありますが常時20種の中から選ぶことができます。20種あるだけでもすごいのですが、なんと一時期はその倍、約40種用意しているときもあったそうです。ROJIに通うだけで梅酒マスターになれそうですね!
たくさんあると悩んでしまう…
そんな方にオススメなのが「梅酒利き酒セット」。気になるものを3つ選び、味の違いを楽しむことができます。今回はその中から轟さんのおすすめも含め「うぐいす おうとろ(特撰梅酒 うぐいすとまり 鶯とろ)」「百年梅酒」「tete(テテ)」の3つをお願いしました。
うぐいす おうとろ
日本一の梅酒を決める「天満天神梅酒大会*」にて2011年に優勝した梅酒。酸味と甘味のバランスが良くとってもジューシー。果肉のトロッとした口あたりがおもしろく、爽やかな酸味の後味が楽しめる。
百年梅酒
こちらも「天満天神梅酒大会」にて2008年に優勝した梅酒。ブランデーと蜂蜜を使って長期貯蔵させたまろやかで奥深い味わい。時間をかけて丁寧に作られたぶん、芳醇さと高級感を感じられる。
tete
9種のスパイスを使用した洋風梅酒。白ワインのように透き通った色で、マスカットのようなスッキリとした甘さで飲みやすい。変わった梅酒が飲みたい方にピッタリ。
*天満天神梅酒大会:日本全国の酒造が造る個性豊かな梅酒・リキュールの出来栄えを競い合う大会。梅の花をこよなく愛した菅原道真公ゆかりの大阪天満宮を舞台に行われます。
飲み比べをして、梅酒にこれほど味わいの違いがあることにびっくり。
それぞれ個性があるので一口に梅酒と言っても、その日の気分や食べるもので飲みたい梅酒を決めることは十分可能だと感じました。
中でも私が気に入ったのはtete。後で調べてみたところ、teteはヨーロッパに伝わるハーブリキュールの製法で作られた梅酒だそうです。イギリスやオーストラリアでもハーブやフルーツをシロップに漬け込んだ「コーデュアルドリンク」というものがありますが、それに近いすっきりさっぱりとした味わいがとても好みでした。個人的にはパスタや魚料理などに合わせたい梅酒です。ボトルデザインもかわいいのでギフトにも良さそう!
それぞれのお酒の色にもかなり違いがあります。
利き酒セットはロックで味わいますが、単品での注文の際はソーダ割り、お湯割りなどの希望もできます。轟さんのオススメの飲み方はロック。しかし体質で酔いやすい方、アルコールが苦手な方で割りものを希望する場合は、百年梅酒のような濃いものが良いとのことです。
せっかくなのでソーダ割りの梅酒も味わってみたかったので、お話の中で気になったものを追加でお願いしました。
プルシアのソーダ割り ¥680(税込)
ソーダ割りでお願いしたのは「プルシア」。
これはサントリーが作っているプラムリキュールです。フランスの家庭ではお酒にプラムを漬ける習慣があるそうですが、それは実を食べるためでありお酒として飲むものとして作られていないのだとか。その製造を参考に梅酒のようにお酒として飲むために作ったのがこのプルシア。ブランデー樽に貯蔵して作るため、華やかな香りを楽しめるプラムリキュールだそうです。
ワインやウイスキーでも上記のように他のお酒を作った樽で熟成させることがありますが、梅酒でもそういうものがあるんだ!と、とても興味をそそりました。クセのないフルーティなプルシアのソーダ割りは暑い季節にぴったりの爽快感。ボトルもおしゃれなので思わず飾りたくなりますね。
ちなみに、轟さんは何がお好きですか?の質問に「僕は最近ウイスキーが好きなので今はあまり飲まないです」だそうです(笑)。
梅酒に限らずお酒の知識が豊富な轟さん。訪れた際はウイスキーについてもいろいろと聞いてみてはいかがでしょうか?
お酒を楽しむ定番フードメニューも
ROJIならではのこだわりあり!
本日のカルパッチョ ¥850(税込) ※お魚は日によって変わります。この日は鯛でした。
ROJIのフードはお酒に合う定番メニューも多いのですが、そのお料理もROJIならではの“ひとくふう”があり食へのこだわりを感じることができます。
アンチョビポテト ¥630(税込)
マスカルポーネの蜂蜜がけ ¥520(税込)
まずは軽いおつまみを3品ほど注文。
本日のカルパッチョ
ピンクペッパーが良いアクセントのカルパッチョ。添えられたブロッコリースプラウトをタイの切り身で包んで食べると幸せな気持ちに◎
アンチョビポテト
アンチョビとニンニクの香りが食欲を刺激!塩加減が絶妙でお酒との相性抜群。リピ決定の一品!
マスカルポーネの蜂蜜がけ
甘めのおつまみだってお酒に合う!酸味控えめ、ミルク感の強いマスカルポーネチーズと蜂蜜にドライイチジクのつぶつぶとした歯触りが最高!
シェアしやすいメニューが多いのがとてもありがたいですね。その他、キャロットラペやマリネ、チーズの盛り合わせ、スモークナッツやジャーキーなど、おひとりさまがお酒を楽しむメニューもあります。
足繁く通い、お気に入りの一品でお酒を楽しめそうです。
シメもお忘れなく!
空腹を満たすROJIメニュー
生ハムのサラダピザ ¥1,200(税込)
もう少しボリュームのあるフードや、お酒を飲んだ後の小腹を満たす一品がほしいという方も多いかと思います。そんな時はこちらのピザはいかがでしょうか?
ROJIのピザはトルティーヤ生地を使ったサックサク食感!轟さんがお店を作る際に“絶対出したいメニュー”として挙げていたもののひとつです。味種は以下の通り↓
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- トマトとバジルのピザ ¥1,100(税込)
- 具沢山のピザ ¥1,100(税込)
- しらすとのりのピザ ¥1,100(税込)
- 生ハムのサラダピザ ¥1,200(税込)
今回は「生ハムのサラダピザ」を注文しました。彩りの良いサラダとしっとりした生ハムが盛られたピザは名前の通りサラダ感覚で食べられますが、クリスピーなトルティーヤ生地の上にはチーズも敷かれているため、ほどよいボリューム感です。
轟さんのおすすめはスタンダードな「トマトとバジルのピザ」。こちらもぜひ味わってみたいです。
にんにく塩焼きそば ¥880(税込)
実はわたしたち取材陣のなかにはROJI常連者が数名いるのですが、その方から「これは食べてほしい!」と強く勧められたのは「にんにく塩焼きそば」。
ソースも良いけど塩も良い!あっさりしているので屋台で食べるようなジャンキーな焼きそば感はなく、もやし、ネギ、ブロッコリースプラウトのシャキシャキ食感の中、にんにくの風味があと引くおいしさです。ミョウガが入っているのがどことなく和風で新鮮!思わず自宅でも試したくなる塩焼きそばでした。
これらのフードは全て轟さんご自身が調理を担当しているとのこと。なんでもできてしまう万能さがすてきです!
ファンがいるのも納得!通いたくなる町屋の隠れ家
店内BGMのセンスもGOOD! カップル、仕事仲間、友達と訪れたくなる。
随所で魅力を感じることができる、すてきな路地裏の隠れ家「FOOD+Bar ROJI」。
開店前の忙しい時間にもかかわらず快くご対応いただき、楽しくお話してくださいました。スタッフの皆さんもとても親切で、常連さんが多いのも納得です。取材の際も開店の18:00すぐにお客さんが次々と訪れ、ゆったりと過ごしているところを見ることもできました。
荒川区町屋でチルアウトするなら、ぜひROJIに足を運んでみてください。
FOOD+Bar ROJI
営業時間:18:00〜25:00(お食事L.O.23:30/ドリンクL.O.24:30)
定休日:月曜日・日曜日
TEL:03-3800-3885
住所:〒116-0011 東京都荒川区町屋2-2-6下田ビル1F
Instagram:@roji_machiya
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