荒川区民に「荒川グルメといえば?」と尋ねると、多くの人が「もんじゃ焼き」と答えます。
荒川区はもんじゃ発祥の地ですよ、と区民は聞かされて育つのですが、都内に住む多くの人は「もんじゃ焼きと言えば月島(東京都中央区)」と思っていることでしょう。発祥であろうがなかろうが、荒川区のもんじゃは美味しい。下町の雰囲気も含めてもやはり一番美味しいのです。
食の楽しみ方はひとぞれぞれ。特別な何かは無いけれど、ちょっと個性的だったり、変わっていたり、ほっとひと息つける場所。そんなモノづくりの街・荒川を支える「荒川グルメ」を探訪してご紹介していくコーナー、それが「荒川グルメ探訪」です。
どん平
真ん中の広告をご存知でしょうか?
都電荒川線(東京さくらトラム)を日頃から乗車している方は、必ず一度は見たことがあるであろうインパクトの強い噂の広告。
「ニュータッチとんかつとは…」「自転車のようなものと合体したこのおじさんは…」「やってます、の…?」そんな疑問を残しながらも昔ながらの絵のタッチと力強い筆文字から、老舗であり地域住民から愛されているお店なのだということが一目でわかるポスター。
こちらは荒川区西尾久にて創業から72年(創業1950年)を迎えられた、とんかつと酒鍋のお店「どん平」のもの。
全員が荒川区勤務で都電荒川線を使う機会の多い荒川探訪編集部内でも「広告は見たことはあるけど、行ったことはない」「気になっていた」という意見が多かったこちらのお店。
記事をご覧の皆さまもどんな料理が出てくるのか、気になっているのではないでしょうか?
今回の荒川グルメ探訪は、「どん平」をご紹介します!
昭和の香りが残る商店街にみた、雰囲気もおいしいお店
都電荒川線(東京さくらトラム)宮ノ前駅で下車し、そのまま目の前の商店街に入るとなんともノスタルジーな雰囲気に。
今なお昭和の空気を帯びた宮ノ前駅周辺は、惣菜屋さんや八百屋さん、パン屋さんなど、西尾久の古くから地元民を支えているような人と人との暖かさがあり、歩いているだけでも十分「観光」した気持ちにさせてくれます。
宮ノ前駅のすぐ近くに尾久八幡神社もあります。風情がある神社なので、お越しの際は是非立ち寄ってみてください。
懐かしさに包まれながら宮前商店街を歩いて3分ほど、目的地のどん平に到着しました。
商店街の昭和な雰囲気と、どん平の佇まいも相まって、絶対においしいと決めつけられるほどの存在感。無造作に置かれた自転車までもがお店の一部。下町ならではの安心感があります。
さっそく店内に入ると、またしても期待を裏切らない内装で、店員さんも暖かく迎え入れてくれました。
カウンター席や2階には座敷もあり、大人数の宴会にも最適です。
満腹度MAX!斬新な定食ラインナップ
酒鍋は夜営業のみのご提供とのことでしたので、定食の中から選ぶことにしました。
ランチは主に、とんかつ定食、とんかつと麦とろセット定食、カツカレー(数量限定)というラインナップ。
半とんかつ定食や、とんかつが付かない麦とろ定食など、女性でも食べ切れるサイズがあるのも良心的です。
ちなみにどん平の酒鍋は、あの人気グルメドラマ「孤独のグルメ」で取り上げられた料理。
お鍋に使う日本酒の量がなんと4合!(720ml)出汁などで割らず日本酒だけを使ったお鍋なので、火をつけるとお鍋から炎が上がるそうです!十分に熱してアルコールを完全に飛ばしたものを使うので、小さいお子さんも食べることができます。夜、家族で酒鍋パーティーも楽しそうですね。
皆さんお気づきだと思いますが、「どん平」ではとんかつに麦とろご飯が付くセットがあります。なんとも斬新なスタイル。
実はどん平は浅草の有名店「浅草(駒形)むぎとろ」のご親戚。そのつながりもあって、どん平でも麦とろ飯を出すことになりました。
また、近くに女子医大もあったため、病院帰りの方がサラっと食べられるものを出してあげたいという想いもあったそうで、またしても下町の暖かさを感じることができました。エピソード込みで食事を楽しむ。これぞ荒川グルメ探訪!
せっかくなので、とんかつと麦とろセット定食と数量限定のカツカレーを注文させていただきました。
とんかつと麦とろ(大)セット定食 ¥1,400
「とんかつにはソース」と思いきや、どん平ではデミグラスでいただくスタイル。食べた時に口の中いっぱいに洋食のテイストが広がります。
そして、とても柔らかくトロトロしたとんかつの食感。これは、角煮の要領でお肉を鍋でじっくり煮込んでから衣をつけて揚げるため、余分な油が落ちた状態で食べられる工夫がされているそうです。
煮込み時間はなんと7時間!三枚肉なので煮込んでからすぐは肉が柔らかく崩れてしまうので、1日寝かせて冷ましたお肉に衣をつけて揚げているのだとか。かなりの手間がかかっています!
ちなみに、定食全てについてくるお豆腐の小鉢は、どん平の数軒先にあるお豆腐屋さんから仕入れた木綿豆腐。すりおろした玉ねぎ、生姜をお豆腐と一緒に混ぜ合わせおぼろ状にしたものに青のりがひとふり。定食の小鉢にもお店のこだわりが見えます。
そしてこの麦とろご飯。パンチの効いたとんかつとの相性も抜群で、サラサラと口に運ぶことができます。
とんかつ、麦とろ、とんかつの無限ループは続き、あっという間に完食!満足度も間違いなしの定食です。
カツカレー(数量限定) ¥980
手間暇かけたとんかつを「嫌いな人を見たことない!庶民的だけど奥が深い!」で評判のカレーでいただくという贅沢なメニュー。カレーはスパイスなどの香辛料系ではなく、あくまで日本味のカレー。これこれ!という安定感がありますね。
皆さんもカレーはスプーンで食べると思いますが、大きなものがトッピングされているとスプーンでカットできず、結果、口を目一杯開いてそのまま放り込むのが世の常。
ところが、どん平のとんかつはスプーンでもきれいにカットできるほど柔らかいお肉なので、おいしい上に本当に食べやすい。
そして何よりこの厚み!ボリューム満点だけど飽きがこない、まさに男性向けの料理です。
ちなみに定食も含め、ご飯、お味噌汁、キャベツはすべておかわり自由!こんな太っ腹なところも下町の良さですね。
お弁当などのテイクアウトもございます!今回はカツサンドを注文。
こちらもかなりのボリューム感。差し入れにも最適です!
カツサンド ¥830
結局あのポスターのおじさんは一体…
満腹になったところで、気になっていたポスターのことを店主に伺いました。
あのおじさんのイラストは、今の店主のお父様、つまり先代のイラスト。
先代は当時、キックボードのような2輪車に乗り、「やってます」の旗を掲げてお店を宣伝していたそうです。
「やってます の」はそういうことだったのか!そして”自転車には見えないけど2輪の何か”の理由も判明!だからおじさんと合体しているように見えていたのか…。
イラストは、その光景をかの有名な漫画家、長谷川町子さんの絵画教室に通っていた生徒さんが描いてくれたもの。本当にあのイラスト通りの親父さんだったそうです。今の店主の方もどことなく目が似ています。
シャッターを下ろすと、そこにはしっかりと先代のイラストが。シャッターが閉まっているのに「やってます」の旗を掲げる先代のイラストがなんとも愛くるしい。
先代の味を引き継ぐと共に、下町の人情味までそのまま体現されているようなお店「どん平」。
是非、西尾久まで足を運んでみてください!
どん平
営業時間:
11:00~13:30
17:30~21:00 (L.O)
定休日:日曜日・祝日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
※一日のお肉の量が限られており、無くなり次第終了のため、早めに終わることもございます。
※ディナーは予約制となっております。
TEL:03-3893-8982
住所:東京都荒川区西尾久2-2-5
ホームページ:https://donpeytonkatsu.wixsite.com/donpey
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