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2022年度 ara!kawa認定商品の募集を開始しました

町工場

国内唯一のエボナイトメーカー日興エボナイト製造所、オリジナル万年筆ブランド「笑暮屋」のモノづくり~後編~

「エボナイト」という素材をご存知でしょうか?
サックスやクラリネットを演奏する方はもしかしたらご存知かもしれませんね。エボナイトとは、プラスチックが主流になる前からボーリングの球、万年筆や木管楽器、パイプの素材として使用されていた硬いゴム素材です。戦後、石油系プラスチックの普及により需要が激減し、エボナイトを製造する企業は徐々に衰退してゆきました。しかし独特の漆のような光沢、しなやかさ、耐久性を併せ持つエボナイトにはプラスチックとは一味違う魅力と面白さが秘められています。荒川区には国内で唯一、エボナイトを作る会社が残っています。古き良き素材を使い、試行錯誤から生まれたエボナイト製オリジナル万年筆の製作について、前編ではエボナイトの「素材づくり」についてをご紹介。今回はいよいよ笑暮屋の主力商品、「万年筆になるまで」をご覧ください。


歴史を感じる日興エボナイト製造所の看板。

国内で唯一とされるエボナイトを製造する会社「日興エボナイト製造所」。

プラスチックが普及していく中で見出した「エボナイトだからこそ」とされる商品の開発、そしてエボナイトを衰退させないための弛まぬ企業努力と加工技術は、代表の遠藤さんをはじめ、日興エボナイト製造所で働く職人さんの情熱あってこそなせる技です。


工場で働く職人さん。仕事をする背中もかっこいい。

作業場に積まれたロゴ入りのコンテナ。

日興エボナイトのモノづくり精神

荒川区には数多くの町工場が存在します。その多くは後継者として先代から受け継いだモノづくりの精神を担う方たちです。遠藤さんは荒川区の事業後継者が互いに刺激し合い、ともに学び、後継者としての気概や資質を高めあう組織「あすめし会*」の初代代表幹事でもあります。

*あすめし会:荒川区経営支援課「MACCプロジェクト」により組織された。
「明日の飯の種を作る」「明日の社長を作る」が旗印。

あすめし会の掲げる「僕らの事業承継」
1、 危機感を持ってますか 「自己を知る」
2、 自ら現業を動かせますか?「自社を知る」
3、 次の代に繋げる事業は出来ますか?「明日の飯の種を作る」

事業承継を取り組む前提は常に未来を見据えること。”企業の存続”を最終目的とするには、たくさんの決意、そして忍耐を要します。荒川区に工場が多いのなら、同じ境遇を分かち合う人も多いはず。”同志”との繋がりも、モノづくりを続ける上での刺激となっているのでしょう。

こうした交流や人との関わりも、東京下町・荒川区の魅力と財産です。人情なくして街は育ちません。明日の飯の種を作る人々が荒川区を豊かにしてくれています。


日興エボナイト製造所 代表の遠藤智久さん。

扱いやすい形に整える、第4工程「センターレス加工」。

それではここから前回に続き、万年筆作りの工程についてのご紹介です。

「混練り」「押し出し」「蒸釜で加硫」という工程を経て、やっと硬いエボナイトが出来上がりました。出来上がりと言っても、木工品に例えれば「やっと木ができた!」というところです。ここから外径をそろえ、きれいな棒の形にする「センターレス加工」に入ります。この作業は専門の工場に請け負って作業してもらうため、お写真は割愛…

万年筆の軸となる、第5工程「削り出し」。

外径を揃え、きれいな棒の形に整えられたエボナイトは、切削機を使い各パーツごとに削り出していきます。水をかけながらゆっくりゆっくりと削られるエボナイト。初めに見た大きなゴムの原料から多くの時間をかけ、やっと私たちの思い浮かべる万年筆の輪郭が見えてきました。


切削機を使いエボナイトを削る。

削られたエボナイトの削り屑。
実際に工場にくると、こういうものまで興味深く眺めてしまう。

万年筆の軸となる部分。
ネジのような溝もこの工程で見えてくる。

笑暮屋のマーブルエボナイト万年筆は色だけでなく、たくさんのデザインがあります。それぞれのデザインによって成形の仕方も変えているそうです。

これまでの工程で見てきたエボナイトを棒状に加工する「押し出し」という手法を使ってできるのは「立竹-RICCHIKU-」と「矢立-YATATE-」というデザインの万年筆。縦ストライプのようなシンプルな模様ですが、竹のようにカーブをつけて削ることで、木の幹の年輪のような美しい柄が浮き出るのです。


立竹-RICCHIKU-。笑暮屋公式ホームページより引用。

一方、型で成型する手法もあり、一本ずつ仕込みの重量を計測しながら、手作業で型に生地を仕込んでいく、とても手間のかかる手法です。それぞれのデザインに合わせて作り方を変えているそうです。


成形で使う金型。笑暮屋公式ホームページより引用。

キズをとり、磨きをかける第6工程「研磨作業」。

削り出された万年筆のパーツは、その後一本一本職人の手で研磨されていきます。

この研磨作業を経て、エボナイトは漆のような光沢と艶が出てきます。しっかりと、そしてしっとりと手に馴染むエボナイト製万年筆の質感は、こうした職人の丁寧な手作業から生まれるのです。


一本一本、丁寧に研磨作業を行う。

ゴム素材でありながら漆のような艶が美しい。

素材加工から製品加工、そして販売。BtoBからBtoCに生まれ変わったエボナイト。


工場横に構える直販ショップ「笑暮屋」。

日興エボナイト製造所のすぐ横には、青い暖簾が目印の笑暮屋直販ショップがあります。

主に下請けとしてエボナイトを製造していた下町工場。BtoBではなくBtoCの業態へ踏み出したこれまでの挑戦は、オリジナル万年筆ブランド「笑暮屋」として荒川区に根付きました。

エボナイトで日々の暮らしに笑顔を届けたい。それが「笑暮屋」です。
素材の仕込みから始まりその書き味まで、職人が真面目に作った筆記具を楽しんでください。

この直販ショップは、水・金 (13:00~18:00)、土・日 (11:00~17:00)の営業です。笑暮屋では実際に万年筆を制作している職人たちが店頭に立ち、接客をします。実際に使う人のことを考え、意見を聞き、商品を選ぶ手助けをする。素材を知り尽くした職人だからこそできる接客と販売は、購入者にとっても商品の大切さと安心感を与えてくれます。

現在、笑暮屋のラインナップはボールペンと合わせて12種類ものデザインがあります。


オリジナル万年筆が並ぶ「笑暮屋」の店内。
試し書きもできる。

宝珠-HOUJU-

形もさまざま。「宝珠-HOUJU-」は丸みのある伝統的な型。ペンクリップも安心の日本製で、長く愛用するユーザーのために品質にこだわったものを使っているそうです。どなたにも使いやすいスタンダードなデザイン。


立竹-RICCHIKU-と矢立-YATATE-

押し出しの手法で作られた「立竹-RICCHIKU-」。その名の通り竹を模したデザインの万年筆です。このくびれの部分が指先になじみ、持ちやすいとされています。立竹-RICCHIKU-をベースに、手帳や胸ポケットに忍ばせられるようペンクリップが付いたものが「矢立-YATATE-」です。


萌芽-HOUGA-と方舟-HAKOBUNE-

そしてこれが笑暮屋の原点と言える「萌芽-HOUGA-」。軸とキャップに段差がなく、すっきりとしたデザインがとても美しいです。独特のマーブル模様が途切れることなく見れ、手触りの良さも伺えるアウトラインが特徴。萌芽-HOUGA-は全体的に丸みのある流線型なデザインですが、「方舟-HAKOBUNE-」は両端がフラットになっており、ややシャープな印象です。

ara!kawa認定商品にも選ばれた新商品「tan-pen」

試行錯誤と挑戦を経て、たくさんのオリジナル万年筆を生み出してきた日興エボナイト製造所。今回は今までの万年筆とは一味違う、新たな商品を生み出しました。


日興エボナイト製造所 笑暮屋の新商品「tan-pen」。

ペン先には金色に輝く「e」の刻印。

それがこちら、「tan-pen」です。まるでクレヨンのように可愛らしく色鮮やか!和の印象が強かったこれまでの商品とはガラリと違ったポップなビジュアルです。



スリムでコンパクトなボディに鮮やかな単色が美しい。
胸ポケットに差し込めばアクセントカラーにもなりそう。

手に持って見るとわかるミニマムさ。万年筆といえばどっしりとした貫禄ある筆記用具といったイメージが個人的にはありましたが、tan-penはそのミニマムさとカジュアルな雰囲気から、手帳にサっと差し込み、カフェなどで一息いれながら使うシーンが目に浮かびます。

使うときはキャップをペン軸の上に差し込むことで長さが保たれるので、使い心地もよくエボナイト特有のしっとりと手に馴染む高級感のある質感も楽しむことができます。ボディの色に合わせてインクを選ぶのも良いかもしれませんね。

最近はインク沼と言われるほど万年筆の魅力にハマる方も多いそうで、インスタグラムなどのSNSでハッシュタグを検索するとなんと12.7万件もヒットする人気ぶり!文字を美しく、おしゃれに描くカリグラフィーなどを趣味とする若い女性も増えているそうです。そんな方にも是非おすすめしたくなるtan-penは、2021年にあらかわのモノづくりブランド「ara!kawa」認定商品に選ばれました。



カジュアルな見た目は入学祝い、就職祝いなどにも喜ばれそう。

「ara!kawa」では認定商品のPR・販売・地域活性化を目的とした支援の一環として「ara!kawa ONLINE STORE」も2022年度内に開設予定。オンラインストアでは日興エボナイト製造所 笑暮屋のtan-penも販売予定です。お楽しみに。

 

いかがでしたでしょうか?

私たちの愛する荒川区には日興エボナイト製造所のようにモノづくりに日々切磋琢磨する会社がいくつも存在します。荒川探訪はみなさんのまだ知らない下町の魅力・職人達の技巧や生み出す商品をこれからもご紹介、発信していきます。

 

株式会社日興エボナイト製造所

日興エボナイト製造所は、国内唯一のエボナイト製造工場を持つ会社。 エボナイトは、天然ゴム原料の硬質 ゴムとして、万年筆や木管楽器、パイプの素材として使用されてきた。戦後、石油系プラスチックの普及により需要が激減したが、日興エボナイトは、オリジナル・ブランドづくりに取り組み、カラーマーブルエボナイトを使用した万年筆・ボールペンの製造・販売を開始した。その不思議な美しさが注目を集め、世界中のペン愛好家から賞賛、愛用されている。

住所:〒116-0002 東京都荒川区荒川1-38-6
tel:03-3891-5258 fax:03-3891-5259
企業ホームページ: https://www.nikkoebonite.com/index.html
笑暮屋ホームページ: https://eboya.net/


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