荒川区民に「荒川グルメといえば?」と尋ねると、多くの人が「もんじゃ焼き」と答えます。
荒川区はもんじゃ発祥の地ですよ、と区民は聞かされて育つのですが、都内に住む多くの人は「もんじゃ焼きと言えば月島(東京都中央区)」と思っていることでしょう。発祥であろうがなかろうが、荒川区のもんじゃは美味しい。下町の雰囲気も含めてもやはり一番美味しいのです。食の楽しみ方はひとそれぞれ。特別な何かは無いけれど、ちょっと個性的だったり、変わっていたり、ほっとひと息つける場所。そんなモノづくりの街・荒川を支えるグルメを探訪してご紹介していくコーナー、それが「荒川グルメ探訪」です。
創業から100年以上!
3代続く老舗のお菓子屋

このたび荒川探訪がご紹介するのは、荒川区町屋4丁目に店舗を構える「ムラマツ製菓」。創業100年以上もの歴史を誇る、老舗のお菓子屋さんです。千代田線および都電荒川線(東京さくらトラム)町屋駅前から徒歩12分ほど。住宅街を歩いていくと、ピンクと白のストライプのテントが目に留まります。普段は写真撮影NGの店内。今回は特別に許可を得て撮影させていただきました。

ムラマツ製菓で販売しているのはお砂糖で甘―いシロップを包みこんだ昔懐かしいお菓子「ボンボン」。砂糖の中にリキュールやシロップなどを閉じ込めたキャンディーのことで、フランス語の「良い」という言葉が由来となっています。チョコレートでウイスキーを包んだ“チョコレートボンボン”とはまったく異なるもの。直売所のような店内には、バラエティ豊かなラインナップのボンボンが並びます。
ウィスキーボンボン ¥600(税込)
一番人気の品が、こちらの「ウイスキーボンボン」。表皮をかじると中から甘いシロップがジュワっと口に中に広がります。筆者は舌の上で押しつぶして割るのがお気に入り。かむほどにシャリシャリとほどけていくキャンディーと、中身のシロップが口の中で絶妙に溶け合います。
コーヒーや紅茶のお供にもよく合うので、お砂糖代わりにカップの中で溶かして食べるのもおすすめ。価格は一部の商品を除いて600円。1パックあたり30個ほどのボンボンが入っています。

お子さんにはいちごボンボンをはじめとしたフルーツテイストのものが人気。いちごボンボンをはじめとした一部の商品は、なんと生の果物をつぶすところからシロップを手作りしています。夏らしい味わいのピーチ味やメロン味もおすすめ。コーヒー味や紅茶味、お子さんが大好きなあのドリンク味のボンボンもありますよ!

全国各地の農家さんから商品を作ってもらえないかと依頼がくるというムラマツ製菓。果実をシロップへと加工することで、素材の味を活かしたお菓子に生まれ変わります。山梨のぶどうに茨城のメロン…各地の名産品がかわいらしいボンボンに。店頭には定番の商品に加え、旬のフルーツの味が並びます。
取材に訪れたこの日は、ちょうど発売前のマスカットボンボンが出来上がったところ。店主の生まれ故郷である山梨県のマスカットを贅沢に使用した品を運よく味見させていただくことができました。旬の味覚をそのままに。頬張ると、口の中でさわやかな風味がはじけます。

溶けやすく崩れやすいボンボンを扱うのは至難の業。暑い場所を避け、大量に積むことを避けることが重要です。取引先にはあらかじめ販路をきちんと確認。固い信頼関係のもと、お取り扱いをお願いしているそうです。
中には1パックあたり1600円という特別な商品も。希少なお酒をそのままに用いた商品もありますので、気になる方はぜひ店舗まで!お酒好きも思わず頬がほころぶこと請け合いのボンボンが手に入ります。
超繊細!ボンボンができるまで

繊細なボンボンの原材料はグラニュー糖と中身のシロップのみ、と超シンプル。砂糖と水を煮詰めたものに中身となるシロップを混ぜ、型に流し込みます。上からコーンスターチを振りかけて乾燥室に置いておくと、表面の砂糖が結晶化。液体が分離して中に残るので、時間をかけて表面をしっかりと固めます。乾燥日数は気温や湿度に合わせて微調整。作り手の勘と経験が求められるデリケートな作業です。
ひとつでも欠けてしまうと液体が溶け出し、他のものにも影響してしまうのがボンボンの難しいところ。真ん丸やとがった形など紆余曲折を得て誕生したのが、現在のかわいらしいドーム型です。かつて包装はひとつひとつ手作業で行っていたのだとか。今では専用の機械が導入されています。
製造に日数を費やすため製造できるメーカーも数少なく、現在ボンボンを製造しているのはおそらく都内でムラマツ製菓のみ。素材や手づくりにこだわり100年以上変わらぬ味を守り続けています。
変わらぬ味を、町の人に届けたい

現在ムラマツ製菓の代表を務めるのは、3代目となる村松義孝(むらまつよしたか)さん。生まれは山梨県で、後に東京都の足立区へ居を移しました。荒川区での商売をはじめたのは約50年前の昭和47年。前身の和菓子屋から業務形態を変え、初代から受け継いだ味を守り続けます。以前は全く異なる業種でお勤めだったそうですが、初代であるおじい様の助言でボンボン作りをはじめてみることに。想像していた以上の奥深さに、引き込まれていったのだと話してくださいました。

ボンボンが誕生したのは、一般市民にとって砂糖が希少だった時代。酒類を加えたボンボンをひとたび売り出すと、店の前に人だかりができました。町の人々にとって束の間の癒しだった小さな砂糖菓子。多くの人の懐かしい思い出として胸に残ります。
お祖母様を喜ばせるために商品を買いに来てくれたお孫さんの話や、わざわざ飛行機でボンボンを買うためだけにお店を訪れてくれたお客さんの話。そんな心温まるエピソードの数々が、村松さんの励みとなっています。量産するのではなく、受け継いだ味を末永く守っていきたい。良い商品をできるだけ手ごろな価格で地域の人に届けていきたいと語ります。
一粒一粒に歴史や想いがギュッと詰まったムラマツ製菓のボンボン。オンライン販売などは行わず、店舗販売のみとしています。ぜひ一度、町屋にある店舗に足を運び、昔懐かしいくちどけを味わってみてくださいね!
ムラマツ製菓
住所:東京都荒川区町屋4-24-7
電話番号:03-3895-4353
営業日:月~土
定休日:日祝、お盆、年末年始
営業時間:10:00~19:00
公式ホームページ:http://www.bapsd.com/muramatsu/
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ウィスキーボンボン ¥600(税込)