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【荒川区東日暮里】気まぐれな工房「studio753」から生まれる、オリジナル雑貨と手作りランチ

JR常磐線・三河島駅から徒歩5分の場所にある「studio753(スタジオ ナナゴウサン)」。大きなガラス窓に囲まれた工房&テイクアウト専門店で、窓の向こうには色とりどりのビーズや布を前に、静かに手を動かす人々の姿が見えます。併設のキッチンでは、週替わりのランチやドリンクをテイクアウトでき、営業時間は少し「気まぐれ」。それは、調理や制作を行う“メンバー”(※studio753では利用者の方々をこう呼びます)が、こころの病と向き合いながら活動しているためです。

そんな気まぐれな工房には、どんな物語があるのか・・・?今回は、ここstudio753の副施設長の小野寺さんと、作業の合間に参加いただいたサービス管理責任者の飯島さんにインタビューさせていただき、その舞台裏を語っていただきました!

「studio753」ってどんなところ

小野寺さん:ここはあべクリニックという精神科のクリニックが運営している就労継続支援B型事業所で、精神に疾患がある方などが、就労やまたその次のステップに進むために通う施設になります。2017年の6月にできて、今年で9年目になります。

飯島さん:平均年齢としては40代半ば。一番下で24歳、上で70歳。賑やかにやってます。荒川区メインですが、北区とか台東区、遠いところは大田区から来ている人もいますね。

小野寺さん:現在38名ぐらい登録していて、だいたい日々20名くらいが来ているような感じです。曜日や時間の組み合わせは人それぞれ。午前だけ、午後だけ、週3日から始める人も。少しずつ通う時間を増やして「次のステップ」に向けて準備していきます。

お二人は、どのような経緯でこちらで働くことになったんですか?

飯島さん:もともと福祉を大学で学んでいたので、あべクリニックにたどり着き、ここで働くことになりました。

小野寺さん:私はここの施設長と前職の同僚だったんです。もともとアートの分野にいたのですが、施設長はアウトサイダーアートの活動をやっていたので、その繋がりでこちらでワークショップを月一回やることに。地域の人と、アート好きと、メンバーさんがごったになって生まれる化学反応が面白くて、コロナになるまで続けて、前任者が辞めるタイミングで施設長に誘ってもらいました。

メンバーさんの通所期間は決まっているんですか?

小野寺さん:特に決まっていません。1年で就職される方もいれば、オープン当初から通い続けている方もいます。ここは社会との接点を持つ「居場所」。通過点でもあり、居場所でもある。病状が重いと家から一歩も出られなくなってしまうことがありますが、ここに来ることで人と話し、少し気分を変えたりリフレッシュできたりする。だから私たちは“居場所としての価値”を大切にして日々運営をしています。

一日の流れを教えてください。

小野寺さん:9:30~15:30までは活動時間と決まっています。9:30~12:00が午前、13:00~15:30が午後。フード(お料理の販売、ドリンクなど)、クラフト、バックオフィス(庶務、値札付け、梱包、お掃除、整備、PC作業など)の3つの部門にわかれていて、それぞれ担当と面談して出勤日や時間などを調整しています。

studio753の名称についてお聞きしようと思っていましたが、もしかしてここが七五三通りにあることと関係していますか?

小野寺さん:その通りです!そのまんまです(笑)。

他と違う特徴は?

小野寺さん:全面ガラス張りの開放的な雰囲気ですね。入りやすさを大事にしています。実は建物を借りるとき、もともと道路ギリギリまで壁があったんです。それを建築家にお願いしてわざと下げてもらい、余白をつくったんです。そうすると心理的に入りやすくなる。地域に開かれた場所にしたかったんです。コロナ前は月に一度、カフェを開放していました。

心満たされる手づくりランチと、こだわりのドリンク


週替わりランチ¥950 セットドリンク+¥250

この日のランチは「ほろほろチキンのトマトバターカレー」。名前の通り、チキンはスプーンでほぐれるほど柔らか!トマトの酸味とバターのコクが合わさった、深みのある味わいでした。

小さなお子さんにも召し上がっていただけるようなメニューを取り扱っているので、お子様連れのお客さんも多いとのこと。数量限定なので予約がおすすめです。ボリュームも栄養バランスも文句なし。お腹も心も満たされます♪

ドリンクにもこだわりがあり、隣の「カメヤマ珈琲店」の豆を使い、店主から入れ方を教わったというハンドドリップコーヒーを提供しています。
カメヤマ珈琲店ではテイクアウトはやっていないので、ここでやっては?と店主さんから声をかけてもらったのが始まりだそう。

今回は隠れた人気商品だというアイスジンジャーカフェラテと、ハニーレモンスカッシュを注文。どちらもシロップは手作り。ジンジャーはスパイシーさとミルクのまろやかさが絶妙!


コースターも手作りです。
メニューはどうやって考案しているんですか?

小野寺さん:スタッフを中心にみんなで考えています。みんな勉強熱心で、パンも自家製で、冷たくなっても美味しさを保つ工夫など、いろいろ改良を加えているんです。メンバーからの提案だったり、そのお宅で作られていたものを採用したりもしています。「ミータソース丼」というのがあるんですけど、これもメンバーさん発案で、名称は発案者の名前をもじっているんですよ(笑)。

メニューにはカレーが多いですね?との質問に対して、「口頭で説明しないと作業をするのが難しい方もいるので、できるだけ工程を少なくしています。そういう理由で、圧力鍋を使った料理が多いですね。工程が少なくても、おいしくて手間をかけている味になるよう常に試行錯誤をしています。」と担当の宇田川さん。就労支援B型施設ならではの工夫もあるんですね。

メニューはSNSなどにアップされていますか?

小野寺さん:はい。ハプニングなどがあると、開店時間が遅れたりすることもあります。「気まぐれかっぱ」が目印だから、営業時間もまちまちです(笑)。

“気まぐれかっぱ”から生まれる、遊び心いっぱいの工房

気まぐれかっぱ、気になっていました!どんなキャラクターなんですか?

小野寺さん:よく聞いてくださいました!実は原画が谷中のお店(yanaka753)に飾ってあります。昔デイケアに通われていた方が描いた絵で、これが「かっぱだ」というのですが、全くかっぱに見えなくて(笑)。その方はすごく人気のあるメンバーさんだったので、みんながマネして描き始めるようになったんです。その過程でバージョンアップをして、12年かけて今この形になり、ロゴにもなりました。よく、「ピーナツ」とか「きゅうり」と間違われることがあります。

studio753では、この気まぐれかっぱをモチーフにした小物など、さまざまな商品が丁寧に手作業で作られています。


かっぱの好物、きゅうりのピアスが
人気とのことで見せていただきましたが、
思ったよりきゅうり!
一瞬にして取材チームの心を射止めました。

てぬぐい専門店「かまわぬ」とのコラボ商品も展開しており、ここstudio753で検品・梱包を行っているそう。手染めのため染めムラなどで規格外になるものもありますが、廃棄せずにきんちゃく袋やエコバッグとしてアップサイクル。しかも一枚を無駄なく丸ごと使う工夫がされています。商品開発は、常にメンバーの意見を取り入れながら進められているとのこと。カラフルなピアスやイヤリング、遊び心あふれる布小物、ファッション雑貨など、全てが個性が溢れています。

完成したアイテムは、気まぐれかっぱの原画あるという谷中の系列ショップ「yanaka753」や、都内各地で開催されるマルシェで出会うことができます。

谷中の系列ショップyanaka753に並ぶ小物たち



撮影時当日に入荷したTシャツ。
胸元と袖の刺繍がポイントです♪


yanaka753
住所:東京都荒川区西日暮里 3-10-5
開所時間:11:00〜15:30(月木)、11:00〜16:00(金)、11:00〜16:30(土日祝)の間で営業
※火曜日、水曜日定休
※不定休、早じまいする日もあります
TEL:03-5834-2858
HP:https://yanaka753.com/
Instagram:@yanaka753

大変さも喜びも―ここでしか味わえないやりがい

このお仕事をしていて、大変だと感じるのはどんなところですか?

小野寺さん:やっぱり“人と関わる仕事”なので、人間関係が一番難しいところかなと思います。ここに通っているメンバーは、気持ちの波で苦しんでいることもあります。でも、それは私たちスタッフも同じで、誰にでもあるもの。1人の人として対等であるということを忘れずに、日々スタッフは支援してるんじゃないかと私は勝手に思っています。
私たちもまだまだ未熟だから、良かれと思ってしたことが裏目に出てしまったり、傷つけてしまったりあるかもしれません。マニュアルがないですからね。日々葛藤しながら支援をしているけど、そういう難しさは、たぶん楽しいところ、嬉しいところでもあるんですよね。自分が支援した結果、あの人がうまくいって、通所ができるようになったとか。やってよかったな、とか働いていて良かったな、って思える。明るい気持ちももらえるんだと思います。

飯島さん:私は“ステップアップの瞬間”を見られるのが一番うれしいです。今、就労の方にも力を入れ始めていて、本人が望めば今障害者雇用とか、雇用に結びついている方が増えてきました。最近でも1名、就労が決まった方がいて。自己実現に向けて少しずつ階段を上がっていく姿を間近で見られるのは、本当にいいなと感じています。
大変なのはもうほんとに事務作業部分ですね(笑)。


飯島さん(左)と小野寺さん(右)

笑顔をつなぐ「studio753」のこれから

工房の中は終始リラックスムードで、冗談を交えながらの取材でした。小さな“ハプニング“に見舞われても、みんなで楽しみに変えてしまう素敵な空間。

小野寺さんは、「メンバーにとってもスタッフにとっても、ここを“誇れる場所”にしたい」と語ります。今後は、地域医療とのつながりも大切にしながら、コロナ前のように地域に開かれた場を目指し、カフェの再開も構想しているそうです。

ここで作られる雑貨やランチ、ドリンクには、一つひとつに丁寧な手仕事と支える人たちの思いが込められています。「かわいい」「ユニーク!」「おいしい」と手に取られた商品は、購入者の生活を彩ってくれるだけでなく、作り手にとっても自信や喜びへとつながっているのです。

近くを訪れた際は、ぜひガラス張りの扉を覗いてみてください。予約した週替わりランチを受け取りながら、クラフト制作の様子を眺めれば、この場所のあたたかさをきっと感じられるはず。
そして谷中の「yanaka753」や、都内各地で開かれるマルシェにも、ぜひ足を運んでみてくださいね!

就労継続支援B型事業所 studio753
住所:
〒116-0014 東京都荒川区東日暮里6-22-13 1F
開所時間:平日 9:30 ~ 15:30
定休日:
土日祝日
TEL:03-6806-7534
HP:https://studio753.jp/
Instagram:@studio753_food

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