みなさんは製造業にどんなイメージを持っていますか?かつては“きつい・汚い・危険”といった言葉で語られることもあった製造業ですが、実は日本がトップシェアを誇る分野がある産業なんです。ところが、人手不足のため各企業での広報活動があまり行われていないという現状が…。
そんな中、若者の力でものづくりの魅力を発信することを目指して生まれたのが「燃えるインターンシップ」。2021年から毎年実施され、今年2025年は33名の学生が「経営×SDGs×グローバル」というテーマのもとに参加しました。多数の製造業の企業が参加する中、荒川区町屋にある有限会社中央バフ製作所も参加。今回荒川探訪でそのインターンシップの様子を取材してきました!
『燃えるインターンシップ』とは??
大学生、短期大学生、専門学校生、高等専門学校生を対象とした2週間の短期集中型のインターンシップ。順天堂大学にて学生と企業の顔合わせ・オリエンテーション実施後、配属先企業の課題発見・改善策の議論、他企業への見学ツアー、発表資料の作成などを行い、最終日にはプレゼンテーション大会が行われ、配属先企業の課題改善策として優れた提案を行ったチームが表彰されます。
また順天堂大学では「ものづくり中小企業の現場に学ぶ企業経営」という科目にて「燃えるインターンシップ」が単位化。今年度は江崎工業(株)・(株)大岩商会・(株)芝橋・(有)中央バフ製作所・(株)トネ製作所・鳴島工業(株)・日建塗装工業(株)・(株)長谷川ジャバラ・三和電気(株)の9社が参加しています。
インターンシップ現場レポート:中央バフ製作所
2週間のインターンシップ期間のうち、初日のオリエンテーション・参加企業の工場見学日・最終日のプレゼンテーションの3日間以外は配属先企業それぞれで内容が異なります。私たちが中央バフ製作所に伺った日は、学生4名が社員の方々に教わりながら実技体験を行っていました。時計や眼鏡を研磨するなど様々な場面で行われるバフ研磨。そのバフのもととなる生地を重ねたものをプログラム式電子ミシン(縫製するパターンをコンピューターにプログラムし、自動的に縫製を行うミシン)で縫い合わせ、型を使ってプレスで丸く裁断する作業をしていました。

学生たちは初めて触れる機械に戸惑い、操作に迷う場面も。それでも社員の方が隣で丁寧に声をかけ、次第に安心した様子で取り組んでいました。
学生が体験した作業以外にも、 軸付バフ(指輪の内側を研磨する際などに使用)の製造、 プログラム式電子ミシンでは縫えない生地を 使ったバフを通常のミシンで縫っている場面なども 見学させてもらいました。
どんな学生が参加している??
今年度は順天堂大学から2名、立正大学から2名の学生が中央バフ製作所へのインターンシップに参加。作業を体験するのは1日のみで、それ以外の期間でプレゼンテーションに向けて資料を作成していきます。
それぞれ国際教養学部、経営学部の学生なので普段は製造業とは異なる勉強をしているそうですが、製造業に対するイメージは「大変そう」が1番目に。
参加した経緯を尋ねると「大学の授業の一環として」や「ゼミの活動として」というきっかけが多い中、「人前で発表するのが苦手なのでそれを克服するため」「製造業と会社経営のリアルを学ぶため」「他業種への就職が決まっているけどこのインターンシップの経験が仕事に活かせると思った」など学生それぞれがインターンシップに参加する理由を持っているのが印象的でした。
前述した通り燃えるインターンシップでは、最終日に配属先企業の課題改善策のプレゼンテーション大会が行われます。学生に中央バフ製作所の改善点についてアイディアを聞いたところ「バフの生地を型抜きした後の切れ端を活用できないかな」という意見が。ただこの切れ端については以前、商品輸送時の緩衝材として使ってみたことがあったそうですが、残念ながら上手くいかなかったとのこと。他の活用方法が見つかるといいですね。
また別の改善点として「社員が使う作業工程表に紙とデジタルが混在しているので、タブレットにまとめると使いやすくなるんじゃないか」という案も出ていました。



インターンシップ受入企業の思い
中央バフ製作所は「バフ コンシェルジュ」として、バフ研磨に関わる全てのサービスを提供しています。具体的にはバフの開発・製造・販売、バフ研磨の受託、バフ研磨の内製化支援を行っており、このインターンシップには初年度から参加。代表の倉澤諒さんのもとにインターンシップ立ち上げに関わった三和電気株式会社から参加の依頼が。
当初は「うちみたいな規模の会社がやるものなのか?」「インターンシップは正社員採用に向けたもの、主にパートを採用している会社がやって効果があるのか?」と参加に疑問を持っていたそうですが、このインターンシップの目的が採用そのものではなく、『ものづくりの楽しさを発信して、製造業を知ってもらうこと』であったため参加を決意。インターンシップを通じて製造しているものを知ってもらえたり、実技体験で学生と社員が交流することで自然と社員教育にもつながっていたりと、当初の目的である『製造業を知ってもらう』ことに加えて、思わぬ良い効果も生まれ、さらに学生が参加することで「作業中、負担の多い姿勢を長時間とってしまう」「SNSの活用が進んでいない」などの課題が見えてきたとのこと。また、学生が社員に向けてアンケートを取り資料にまとめてくれることで、なかなか聞きづらい本音などを知ることができ、インターンシップを受け入れることは会社や社員へのいい刺激になっていると感じているといいます。今回で参加は5回目。中央バフ製作所にとって「燃えるインターンシップ」は夏の風物詩になってきているそうです。
燃えるインターンシップが繋ぐ 製造業と学生の未来
倉澤さんは「学生とはこのインターンシップ期間だけの付き合いでなく、この先何か困ったことがあった時に連絡を取り合えるような会社でありたい。」と語っていました。企業と学生たちとの出会いが、製造業の魅力発信につながっていくのが楽しみですね。
そして9月5日には、配属先企業の課題改善策を提案するプレゼンテーション大会が行われました。その模様も近日中に荒川探訪でご紹介しますので、ぜひご期待ください!
燃えるインターンシップ
ホームページ:https://www.moeru-internship.com
Instagram:https://www.instagram.com/moeru_internship
有限会社 中央バフ製作所
住所:〒116-0001 東京都荒川区町屋1-26-5
電話番号:03-3895-4762
ホームページ:https://www.chuo-buff.com
Facebook:https://www.facebook.com/chuobuff/
Instagram:https://www.instagram.com/buff_chuo/
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学生が体験した作業以外にも、
軸付バフ(指輪の内側を研磨する際などに使用)の製造、
プログラム式電子ミシンでは縫えない生地を
使ったバフを通常のミシンで縫っている場面なども
見学させてもらいました。