モノづくりの街・荒川区の地域情報サイト

モノづくり

不可能を可能に。金物加工は「四釜製作所」にお任せ! 

日常生活のすぐそばに!

熟練職人による確かな技術

荒川区では1994年(平成6年)度より、区内で長年にわたり同一の職業に従事し、次世代の育成に力を注いでいる人々を「荒川マイスター」として認定しています。製造業から調理業までその分野は多岐にわたり、「モノづくりの街・荒川」を象徴する存在に。2024年(令和6年)には、この制度が始まってから30周年という節目の年を迎えました。今回の荒川探訪では、荒川区の“宝”とも言える、マイスターをご紹介します。

このたび取材に伺ったのは、都電荒川遊園地前駅からほど近い場所に位置する「株式会社四釜(しかま)製作所」。1966年(昭和41年)に創業して以来、ショッピングセンターや百貨店などにあるお店の看板や商品棚、公共施設などのサインやサッシ、什器等に関する製造や現場取り付けを手掛けてきました。 受注先は有名ブランドの店舗からテーマパークまで、聞けば誰もが目を輝かせるようなお店ばかり!手すりやディスプレイ棚など、全てオーダーメイドで承っています。荒川区内にある馴染み深いチェーン店から依頼を受けることも。私たちの日常のさまざまな場面で、四釜製作所の技術が活かされています。このたびお話を伺ったのは、令和7年度の荒川マイスターに認定された中嶋 正(なかじま ただし)さん。顧客からのあらゆる要望を高い技術で実現可能なものにする、“製作のプロフェッショナル”です。高校卒業後は鉄筋工事や電気工事の職業などを経験し、1996年(平成8年)に株式会社四釜製作所に入社。製造に関する工程全てを経験した後、13年前に工場長に就任しました。中嶋さんは、勤続10年・20年の節目に荒川区産業功労表彰を受賞。今年で勤続30年目を迎えます。荒川マイスターに認定されてからは、同じく地元で働くお子さんたちから「マイスター!」と冷やかされることもあるそうです。実は認定式の直前、体調を崩して入院していたのだそう。それでもこの日の取材では、そんな心配を微塵も感じさせない元気な姿を見せてくれていました。

モノづくりは楽しい!

未知のものを、形に。 

大きな機械がズラリと並ぶ工場内。天井が高いのは、大型の製品を製作する作業がしやすいためだそうです。現場では対応できないものを工場で製作し、要望があれば取り付けに行くところまでが四釜製作所の仕事。扱う素材は鉄、アルミ、ステンレス、真鍮、銅などが中心で、コストを抑えられる鉄や錆びにくいステンレスをはじめ、鏡面仕上げやメッキ加工など、顧客の要望や予算に応じて、最適な材質と加工方法を使い分けています。


鉄やステンレスの板。
1mm~様々な厚さの素材が揃います。


鉄の板を切断する機械。
その一台一台に、会社の覚悟とも言える 莫大な費用がつぎ込まれています。

製造工程は主に、
①切断
②曲げ加工
③研磨
④溶接組み立ての4つ。

なかでも特に重要なのが「曲げ加工」と「溶接組み立て」です。製品の精度や仕上がりの美しさを左右する工程。長年培われた技術と経験が求められます。「曲げ加工」では、ぴったり90度に曲げる熟練の技術が見せどころ。場合によっては協力会社である曲げ加工専門の工場に依頼することもあるそうです。
この日、工場内に置かれていたアーチ形の部材は天井部分に取り付けるものなのだそう。実際表に出て目に触れる部分はごくわずかで、説明されなければ用途が分からないようなものばかりです。しかし、それらが我々が訪れるお店の見えない基盤となり、空間を支える枠組みを形づくっていると知ると、これまで見えていなかった世界が広がっていくような感覚さえ覚えます。「溶接組み立て」とは、文字どおり材料となる鉄材同士をつなぎ合わせる工程のこと。鉄をはじめとする金属は気温や湿度によって状態が変化するため、夏と冬では扱い方も異なります。特に夏は高温多湿で材料が酸化しやすい環境。より素早く、適切な作業が求められます。

一口に溶接とによっても、その方法はさまざま。アルゴン溶接、半自動溶接、ロウ付け、アーク溶接など、用途や素材に応じて使い分けられています。なかでも「アルゴン溶接」とは、タングステン電極とアルゴンガス(不活性ガス)を用い、アーク熱で金属を溶接する技術。四釜製作所でもこのアルゴン溶接機を複数所有しています。「アーク溶接」とは、電極と金属の間に放電現象を起こし、その超高温の熱で金属を溶かし、分子レベルで一体化させて接合するという技術。マイスターである中嶋さんも、「アーク溶接特別教育」を修了しています。毎朝9時の朝礼を終えると、その日の優先順位を決め仕事を振り分けていくのも工場長である中嶋さんの大切な仕事。技術者として現場に立つ一方で、年々責任者としての重圧も増えていると話します。若手の育成も大切な役目。言って聞かせ、やってみせる。時に雑談を交えながら「モノづくりは楽しい」と気持ちを大切に、誰もが安心して怪我なく働ける環境づくりを目指しています。
経験がものをいう世界であるからこそ、お客さまから寄せられる難しい要望にも、まずは「どこまで実現できるのか」を丁寧に話し合うことから始めます。長年にわたり無理難題を向き合ってきた中嶋さんではありますが、常にはじめての案件が舞い込んでくるため、仕事に飽きることは決してないのだそう。

未知のものをどのように形にしていくのか。試作品を作り、考え抜く。時間との勝負を重ねながら「できないものはない」という想いで、日々のモノづくりに向き合っています。自らが手がけた製品を街中でみかけると、まだ幼かったお子さんに自慢してみせたこともあるのだとか。自身の仕事が人々の暮らしの中で生きていることを、実感する瞬間だったと話します。最近の楽しみは、かわいいお孫さんたちの日々の成長。取材中も時折やさしい“おじいちゃんの顔”をのぞかせてくれました。

モノづくりの町・荒川に今後望むことを尋ねると、お孫さんとのお出かけを思い描いているのでしょうか。「買い物がもっと便利になるといいですね。」そう穏やかに語り、荒川のさらなる発展に期待を寄せていました。

社員への誇り、

そして町への想い 

明るく朗らかなお人柄の四釜社長。
冗談を交えながら社員とのやりとりする姿からは、
社内の風通しの良さもうかがえました。

中嶋さんをマイスターに推薦したのは、何を隠そう四釜製作所の二代目社長を務める四釜 裕和(しかま ひろかず)氏。新しく改装したばかりの事務所には、自慢の技術を活かした窓枠や机が並び、モノづくりへの誇りを感じさせます。BtoBを主軸とする四釜製作所は、一般消費者向けの商品を手がける会社ではありません。そのため、製品を使う人の声が、直接つくり手に届きにくい環境にあります。それでも、社員一人ひとりには、自分たちの仕事に自信と誇りを持ってほしい。そんな想いから、工場長である中嶋さんを荒川マイスターに推薦しました。「経験値がものをいう世界だからこそ、日々現場で難題を解決してきた技術力をぜひアピールしてほしかった。」
そう語る社長の言葉からは、中嶋さんへの深い信頼とモノづくりへの想いが伝わってきます。

時にはお仕事を任せてくれそうな会社に自ら営業に出向くこともあるのだそう。長年の経験から、まずは人間関係を築くことを重視しています。実は荒川探訪が拠点をおくデザイン会社ROOM810とも、ロゴやグラフィック製作を通じてお付き合いのある間柄。名物、丸山社長とも親しく交流されています。荒川区生まれの四釜社長は、草加で小~中学校時代を過ごし、大学卒業後設計会社に11年勤務。もともとは学校教師を目指していたそうです。やがて先代が築いた会社を自分が継がなければという思いが次第に芽生えるように。現在は葛飾区在住ですが、生まれ育った荒川で過ごす時間が長いため、郷土愛はこちらの方が強いと語ります。

全域が産業地域である荒川区では、地域全体でモノづくりをしているという感覚。取引先の中には、社長が子どもの時からお付き合いのある方もいるそうです。2026年で創業60周年を迎える四釜製作所。会社を大きくしたいというよりも、長く続けていきたいという気持ちが強いと語ります。5~6年前に掲げた10年ビジョンは「働く人が豊かになる会社」。油にまみれて働く仕事は、今の若い世代にとって魅力的には映らないかもしれないが、それでもこの会社を選んでくれた人には、ここで働いてよかったと思ってほしい。その言葉には、社員一人ひとりに向けた想いが込められていました。「製造業は設備業。」機械などへの先行投資は、モノづくりを続けていく上で欠かせません。無駄な時間をなくすために、隙間時間ができたときには戦略的に作業を組み立て、工場内の動きが止まらないよう常に考えているのだそう。社員一人ひとりが自ら考え、動ける環境づくりも大切にしています。「荒川はモノづくりの町。」自社で受けられない仕事があっても、協力会社を紹介できるような仕組みを作り、地域全体で支え合っていきたい。AI社会が進むからこそ、機械には決して代わることのできない職人の技に、これから改めて光が当たるであろうと期待をにじませます。

モノづくりの町・荒川に今後望むことを尋ねると、日本を支える町工場がこれ以上減ることのないように、モノづくりの環境を守っていけるような取り組みをしていきたい、そんな地域であってほしいと強く語ってくれました。

発展を願うマイスター中嶋さんの想いとは、ある意味で対象的な「守る」という視点。その両方が、モノづくりの町荒川を形づくっているのかもしれません。四釜製作所の強みは、高品質な製品づくりとスピーディーな対応力。機械による大量生産ではなく、卓越した技術を持つ職人の技術と経験によって、一つひとつのオーダーに応えています。長年の積み重ねによって培われた唯一無二の技術が四釜製作所の宝。この日も、そのことを証明するように飛び込みで相談に訪れるお客さんの姿がありました。

年度末の繁忙期を前に、活気づく工場内。荒川区が誇るモノづくりの技術で、これからも多くの不可能を可能に変えていってくれるに違いありません。

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