土の子で初めての土器作り体験
今回は、土器作り体験教室・ショップ「土の子」で土器作り体験をしてきました。
土の子は、都電荒川線(東京さくらトラム)の小台駅から旧小台通りを抜け、小台銀座商店街を歩くこと約7分、以前ご紹介した銭湯「梅の湯」の隣にあります。
店内に入ると、オーナーの西山さんと我妻さんがふんわり優しい笑顔で迎えてくださりました。
ガラス張りの明るい店内には、 食器〜植木鉢まで様々な種類の土器が並びます
土の子
土の子は、2022年10月に開業。西山さんと我妻さんのお二人で営まれています。
元々、武蔵野美術大学で陶芸を学ばれていたお二人。
当時、土器自体は知ってはいたものの「土器は使えない」と思っていたことからあまり興味はなかったそうですが、大学卒業後、土器作家でもある大学の教授の展示に訪れた際に「土器も使えるんだよ」と教わり、土器で飲んだ飲み物が美味しかったことをきっかけに土器の世界にハマったのだとか。
左:我妻さん 右:西山さん
土器とは?
ところで皆さんは、土器と陶器の違いをご存知でしょうか?
土器も陶器も同じ土からできています。
では何が違うのかというと、それは焼く時の“温度”!
陶器は1230℃と超高温で焼くのに対し、土器は800℃で焼きます。
その結果、陶器は固くて丈夫な仕上がりに。
土器は陶器よりも柔らかく、土らしさが残る味わいのある仕上がりになるそうです。
店内に並ぶたくさんの土器
早速土器作りを体験スタート!
まずは、材料となる土をハンマーで叩いて砕いていきます。
この土は、埼玉の畑の土を使っているそうです。
最初はコロコロとした固まりのある土も砕くことでかなり細かくなります。
その砕いた土をふるいにかけて、さらにサラサラの土にしていきます。
なんだかお菓子作りのようでワクワク♪
土を砕く様子
お菓子作りみたいにふるいにかけます
サラサラになった土に少しずつ水を混ぜていきます。
全体に水が混ざったら、団子状に丸めます。
こんなに土に触れ合ったのはおそらく小学生ぶり!
むかし、泥団子を作ってピカピカに磨いて遊んでいたのを思い出しました。
先ほど、土器と陶器の違いをお話ししましたが、陶器は焼くと釉薬が溶けて土の質感などは無くなってしまうのですが、土器は焼いてもそのままの質感を残すことが可能です。そのため、泥団子のようにピカピカに磨いたものを焼けば、ツルッとした質感の土器ができるそうです。
土と水を混ぜる様子
泥団子にしていきます
ツルッとした質感の蚊取り線香を入れる土器 口から煙が出てきます
畑の土で作った泥団子に、つなぎで市販の土を混ぜていきます。
枯れた葉っぱや虫の死骸など色々な有機物が混ざっている畑の土に対し、市販の土は有機物がほとんど入っていない粘土の部分だけのもの。
畑の土はふわっと土の香りがしますが、市販の土には香りがほとんどありません。
畑の土と市販の土を混ぜることで、土の香りが残って土器で飲む飲み物が美味しく感じるそうです。
また、土に混ざった有機物は焼けると無くなってしまい、目に見えないくらいの小さな穴になります。
そのため、市販の土だけで作るよりも通気性が良くなり、カビが生えにくくなるという機能的にも嬉しいポイントもあります。
市販の土は、焼くと濃いオレンジ色になる土と薄いオレンジ色になる土の2種類から選べます。
何が違うかというと、土に含まれる鉄分の量。鉄分が多く含まれているほど赤みが強くなるそうです。
今回は、2人で体験したので1人ずつ違う色を選びました。
奥:畑の土 手前:市販の土
最初は「荒練り」という、土の密度を均一にしていく練り方で混ぜていきます。
土の色がしっかり混ざり合ったら荒練りはOK!
左は濃いオレンジの土、右は薄いオレンジの土を選びました
この後は、「菊練り」という空気を抜く練り方をします。
練った時にできる模様が菊の花びらみたいだから菊練りというそうです。
この菊練りは、しっかりできていないと焼く時に爆発してしまうこともある、とても重要な技術。
菊練りは陶芸家さんが一番最初に習得する技術で、なんと1週間も練習をして習得するそうです。
西山さん、我妻さんのお二人がやっているのを見ると簡単そうに見えますが、実際にやってみるととてつもなく難しい。
同じ土を触っているのか疑うレベルです。笑
爆発してしまったら大変なので、私たちの分の土もお二人に仕上げてもらいました。
これで土器を作る粘土の完成です!
菊練りを教えてもらっているところ
さて、ここからは手びねりと轆䡎に分かれていきます。
※今回は特別に両方体験させていただきましたが、通常は手捻りか轆䡎のどちらか1つを選びます
まずは手捻り体験!
先ほど作った粘土を作りたいものの大きさに合わせて丸めます。
この時の綺麗さが仕上がりに響いてくるのだそう。
丸めたものを手轆䡎の中心に置き、山型に固定します。
轆䡎と粘土の設置面の大きさが器の底の大きさになるので、手で轆䡎を回しながら調整します。
粘土をろくろにセット!
粘土の中心にまっすぐ親指を刺して穴を開けます。
底の厚さが5㎜くらい残るようにするのですが、わたしはちょっとビビって厚めになってしまいました笑(薄すぎると底抜けになってしまいますが厚い分には大丈夫だそう)
親指で穴を開けます
穴が空いたら指とろくろを使ってこの穴を押し広げていき成形していきます。
広げていく時にできるヒビはお水をつけて修復します。ヒビが大きくなって裂けてしまうと修復が難しくなってしまうので小さいうちに直していくのがポイントです。
とはいえ、お水をつけ過ぎてしまうと粘土がふにゃふにゃになって粘土が潰れてしまうので塩梅が重要。
この広げる作業とヒビを消す作業を繰り返して理想の形を作っていきます。
乾かしたり焼いたりして水分が抜けると、今の大きさから一割くらい縮んでしまうので少し大きめに作ると理想の大きさに仕上がるそうです。
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ヒビを直しながら形を作っていきます
理想の形になってきたら、コテを使って表面を綺麗にしていきます。
縁の部分は皮を使って鞣すとつるんと綺麗に仕上がります。
綺麗に仕上げるのも良いですが、指の跡などが残り、味のある風合いに仕上がるところも手捻りのいいところなので、仕上げ具合はお好みで◎
コテで表面を綺麗にしていきます
形ができたら、貝殻やロープ、かわいい形の型などを使って模様をつけて完成!
自由な模様をつけられるのも手捻りのいいところです。
わたしは貝殻でラインを描いたりロープで模様をつけたりしてみました♪
ロープで模様をつけている様子
模様をつける道具たち
時間内であれば何個でも作ることができるので、 鯛の型を使って小さな鯛も作りました!
続いて電動轆䡎体験
まずは電動轆䡎の中心に粘土の塊を置き、電動轆䡎を回しながら手と水を使って真ん中に粘土を集めていきます。
これにより、後の成形がスムーズになります。
人生初轆䡎体験!
電動轆䡎に置いた粘土に、親指を使って粘土の中心に穴を開け、深さと厚さを調整しながら器の底になる部分を作ります。
底ができたら、手を使って粘土の壁を引き上げます。
内側と外側から手で押さえつつ、ゆっくりと高さを出していきます。
均等な厚さにすることが大切です。
形を整えている様子
壁の厚さを均一にし、希望の形に整えていきます。
手や道具を使って滑らかな表面を作り、形を整えたら完成です!
電動轆䡎は手捻りよりも薄く均一な仕上がりになります。
完成!
完成したものは、しっかり乾燥させて焼いてもらいます。
乾燥させて焼き上がりまでは1ヶ月ほどかかるそうです。
今回作った作品たち(手前:手捻り 奥:轆䡎) 焼き上がりが楽しみ♪
約1ヶ月後…↓
ついに完成!
ついに焼き上がりのご連絡が来たので、受け取りに行きました。
焼き上がったものがこちら!じゃん!
完成〜!(左2つ:轆䡎 右3つ:手捻り)
轆䡎は薄いオレンジの土、手捻りは濃いオレンジの土で作ったのですが、同じ土器でも色の違いがしっかり出ていてどちらも素敵に仕上がりました!
焼く前の指の跡などがそのまま残っているのも土器ならではの味わいです。
この土器に何をいれて使おうかワクワクします。
自分が砕いた土が器になるという体験は、なかなかないのでとても新鮮で貴重な体験でした。
なにより取材ということを忘れかけるくらい楽しかったので、皆さんもぜひ体験してみてください。
冒頭でもお話ししたように、土の子のお隣には梅の湯があったり、都電で数駅行けばあらかわ遊園があったり、ちょっと足を伸ばせば上野の美術館もあります。
あらかわ遊園で遊んでから土器作りも良し!上野の美術館でインスピレーションを膨らませてから土器作りも良し!土器作りの後に銭湯で癒やされるのも良し!
土器作り体験だけでも100%楽しめますが、色々な組み合わせで200%楽しい1日を過ごしてみてください♪
※土器作り体験の詳細についてはこちらをご覧ください
土器作り体験教室 土の子
住所:〒116-0011 東京都荒川区西尾久4丁目12-34-102
営業時間:13:00-21:00(土日のみ10:30~)
定休日:火曜日
予約サイト:https://tuchinoco.com
Instagram:@tuchinoco_doki
メール:tutinoco.doki@gmail.com
TEL:090-8069-0448
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