「荒川区」というと、昔ながらの下町情緒溢れるお店や街並みのイメージが大きいのではないでしょうか。実を言うと荒川区は今、時代にフィットしたまちづくりや、暮らしを豊かにしてくれるお店やスポットがたくさんある注目のエリアなんです。
ひっそりとした住宅街に突如現れるオシャレなお店。広々とした魅力溢れる公園、リノベーションで新しく息を吹き込まれたような素敵なスポットなど、モノづくりの街・荒川区を支える「暮らしに寄りそうスポット」を探訪してご紹介していくコーナー、それが「荒川くらし探訪」です。
今回の「荒川くらし探訪」は、区内の各銭湯で開催される荒川銭湯スタンプラリー2024 AUTUMN「デビュー銭(せん)」のご紹介。
これまで行って見たいけどなかなか行く機会のなかった銭湯デビューのきっかけになればと思います。
銭湯初心者から常連まで楽しめるこの銭湯スタンプラリーを通じて、古き良き銭湯や意外とモダンな銭湯を巡って、下町銭湯文化の魅力を再発見してみてください。
ネオンサインとシャチのマークがお出迎え!
このたび紹介する「タイムリゾート」は、都電荒川線(東京さくらトラム)町屋二丁目駅から徒歩3分ほどの住宅地に佇む町のお風呂屋さん。昭和レトロなネオンサインと、入口を見下ろすように貼られたシャチのステッカーが目印です。マンション併設型の銭湯で、入口脇にはコインランドリーも。子どもの時に訪れたことがあるような、どこか懐かしい感覚を憶えます。
「タイムリゾート」が存在するのは、平成元年にできたマンションの1階部分。先代である大家さん一家の頭文字をとったT.I.M.Eが名前の由来です。現店主のご両親が大家さんから経営を任されたのが、2002年(平成14年)のこと。それから20年以上経った今、タイムリゾートの湯を守るのはご両親から経営を引き継いだ岩本潤さんです。
旅行気分が味わえる!浴槽の数々
数ある浴槽の中でもタイムリゾートの自慢は、高い健康効果が期待できる「ラドン浴泉」(別名「放射能泉」)。一定の濃度に保たれたラドンガスを浴槽内に送り込んだもので、それらが体内に取り込まれることで傷や疾病の改善に効果があるといわれています。こちらの浴槽スペースだけ扉が設けられているというのも特別感を感じるポイント。お客さんからは膝の痛みが改善したといった声も寄せられているそうです。日本各地にラドン温泉を有する湯治場がありますが、日帰りで入浴できる都内の施設はごくわずか。希少なラドン浴泉を心行くまで堪能することができますよ!
もともとは露天風呂であったという岩風呂。現在は、天井の小さな小窓から自然光が差し込む解放的な空間となっています。木製の天井に竹製の壁、と風情ある造りが特徴。どこかの温泉地を訪れたような気分で、転地効果も味わえますよ。(転地効果=いつもと異なる環境に身をおくことで得ることのできる、リラックス効果のこと。)季節によって異なる薬湯も、多くのお客さんに喜ばれています。
岩風呂の向かいに設けられた深めの座風呂と寝風呂もまた、心身共にリラックスできる浴槽。特に寝風呂は身体への負担が少ないため、長時間浸かることが可能です。自律神経を整えてくれるので、不眠などでお悩みの方にもおすすめ。窓から入ってくる外の空気に身を委ね、心地よいひとときが過ごせます。
「タイムリゾート」の名が表すように、シャワースペースのタイルもどことなくトロピカル。入念に手入れされたカランや浴槽からは、岩本さんの涙ぐましい努力が伝わります。男湯にはサウナ(有料)もあることから、近年では若い男性客の来訪も増えているのだとか。一般的な町の銭湯にしてはゆったりとした造りであることも人気の理由です。
広々とした脱衣所には、昔ながらのお釜ドライヤーも。近年できたばかりの新しい入浴施設では、なかなかお目にかかることのできないアイテムです。ベビーベッドや介護シャワーチェアも用意されているので、小さな子ども連れやお年寄りも安心。年季の入ったお風呂グッズの数々もモノを大切にする心を思い出させてくれるようです。
ふかふかのソファで湯上りのひとときを
シャチやトロピカルなデザインから抱いたビーチリゾートのイメージとは一変、ロビー部分はどちらかというと山岳リゾートといった雰囲気。広々スペースに居心地のよいソファが置かれ、湯上りのひとときが過ごせます。ログハウス風の壁紙は、岩本さんのお父様の好みに合わせたもの。本棚にはたくさんの漫画本が、机の上には新聞や週刊誌が整然と並びます。
銭湯文化を守りたい!店主の想い
一部の時間帯を除き、ほぼ一日を通して番台に立つのは店主の岩本さん。掃除やお湯張り等の開店作業も基本ひとりで行います。閉店後は夜中の1時頃まで片付けをして、翌営業日の午前中から掃除を再開。開店直前までフル稼働でお客さんを迎える準備に大忙しです。
開店30分前になると、愛用の杖を表の傘立てに収め外の椅子で扉が開くのを待つお客さんの姿が。タイムリゾートを訪れる客層のうち、6割ほどが週2-3回のペースで訪れる常連さんであるそうです。根強いファンからの支持が絶えないのも、清掃や声掛けなど基本の部分を大切にする岩本さんの努力あってこそ。お客さんの中には一人暮らしのお年寄りも多いことから、タイムリゾートが交流の場となっています。ロビーには子供たちによって描かれたかわいらしい絵の数々も。タイムリゾートが老若男女、多くの人々に愛されていることがよく分かります。
銭湯を継ぐ前は、会社勤めをしていたという岩本さん。いつもよりも優れない顔をしているお客さんがいると、ついつい気になってしまうのだとか。ときには「お疲れですか?」と声を掛けながら。「全てのお客さんに、リフレッシュして帰ってもらいたい!」と語ります。
銭湯を、人と人とを繋ぐ場所にしたい。
常連さんたちにとっては生活の一部であるタイムリゾート。初めて訪れる人々の目にはきっと新鮮に映ることでしょう。
忘れかけていた下町人情に出会える場所。日々の疲れを癒しに、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
荒川銭湯スタンプラリー2024 AUTUMN 「デビュー銭」
開催期間:2024年10月1日(火)~2024年11月30日(土)
参加方法・詳細は荒川銭湯スタンプラリー特設サイトをご覧ください
特設サイト:https://arakawa.news/stamprally/
問い合わせ:荒川銭湯スタンプラリー事務局(arakawa.sento@gmail.com)
タイムリゾート
営業時間:15:00〜24:00
定休日:金
入浴料金:大人550円/中学生300円/中人(小学生)200円/小人(未就学児)無料(2024年8月現在)
TEL:03-3819-7941
住所:荒川区町屋4-4-1
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