モノづくりの街・荒川区の地域情報サイト

暮らし

駄菓子屋の奥に広がる、もうひとつの居場所「縁処(えんどころ)三ノ輪新開地」 

①下町情緒あふれる!昔ながらの駄菓子屋
②誰でも利用可!地域のコミュニティスペース

このたび荒川探訪が取材に訪れたのは、ジョイフル三の輪商店街にある「縁処(えんどころ)三ノ輪新開地」。下町情緒あふれる昔ながらの駄菓子屋で、地域の人々が気軽に集えるコミュニティスペースとしての役割も担っています。

お話を伺ったのは、同店を運営する特定非営利活動法人「粋と縁」の副代表理事を務める鬼塚佳代子さん。地域に根差した「縁処 三ノ輪新開地」の魅力や、世代を超えた交流を育む多彩な活動についてお話を伺いました。

コミュニティスペースとしての役割

2024年6月にオープンした「縁処 三ノ輪新開地」。店内には昔懐かしい駄菓子が並び、その奥には約15名が利用できる交流スペースが設けられています。入口として駄菓子屋という形を取り入れたのは、子どもから高齢者まで誰もが気軽に立ち寄れる場にしたいという思いから。駄菓子の販売は、地域の人々とのつながりを育むと同時に、団体の活動を支える大切な収入源のひとつにもなっています。


店内の冷凍庫には、キンキンに冷えた
チューペットやぐるぐるゼリーが!

もともとデイサービスの仕事をしていたという鬼塚さん。ケアマネジャーの資格も持っています。通常、介護認定を受けていればケアマネジャーからの支援を受けることができますが、元気な人ほど社会との接点が少なく孤立しがち。お年寄りたちに寂しい思いをさせたくない、という思いで家庭以外の“居場所”を作りました。


取材中も、駄菓子を買いに訪れる子どもたちや
スーパーボールくじを楽しみにやって来る大人の姿がありました。

月から土、午前9時から午後4時まで誰でも1日500円で好きなだけ滞在可能。食べ物を持ち込むこともできるので、利用者それぞれが思い思いの時間を楽しんでいます。常連さんの中には100歳のお誕生日を迎えた方も。ちぎり絵や縫い物に打ち込んだりおしゃべりに花を咲かせたりと、過ごし方はさまざまです。

地域に根差した多彩な活動

日々の自由な交流の場に加え、毎週水曜日(祝日を除く)の午後12時30分から15時までは、「ふれあい粋・活(いきいき)サロン」を開催しています。サロンでは、浴用タオルを使った足指の体操や、音楽に合わせて体を動かす健康体操などを実施。参加費は1回わずか200円で、参加者は体操に使用する浴用タオルを2本持参します。

手作りの脳トレプリントを配布し、参加者に宿題を出しているのもユニークな取り組みのひとつ。「次回までにやらなくちゃ!」という適度な目標が、参加者一人ひとりのやる気や元気につながっています。普段から文字を書いている人は、100歳になっても綺麗な字を書くのだとか。「できない理由を探すのではなく、できる方法を探す!年齢を言い訳にしない!」そんな考え方が若々しさ、元気の秘訣です。

月に一度の恒例「めんこ大会」も人気の催し。総当たり戦で行われる角めんこ対決や豪快な丸めんこ飛ばしなど、昔ながらの遊びを大人も子どもも一緒になって楽しみます。令和7年7月にテレビ朝日「ワイド!スクランブル」でも取り上げられた人気イベント。参加費は一人300円と気軽に参加できるのも魅力です。参加者には、新開地流の段位バッジとオリジナルめんこをプレゼント!参加を希望される方は、下記のメールアドレスまでお問合せください。
お申し込み先: ikitoen@outlook.com

天体望遠鏡の使い方などといった基礎知識から
月のクレーターの名前など専門的な内容まで幅広く掲載した
冊子「新開地天文クラブ」。

親子向けイベント「新開地天文クラブ」も、注目したい取り組みのひとつ。きっかけとなったのは、いつも活動を手伝ってくれるご友人、松田さんの趣味である天体観測です。お父さんから受け継いだ天文の趣味を50年以上も大切にされているということを知り、「せっかくなら、みんなで楽しめる場にできないか。」という思いから夜空を見て楽しめるイベントを提案。天文の知識をインプットし、アウトプットとして天体望遠鏡の操作やクレーター・星の観察につなげていくことで、参加者が宇宙を身近に感じられる時間を提供できればと考えました。

これまでの活動からも分かるように、鬼塚さんは人それぞれが持つ能力や魅力を引き出すことが大得意。フットケア講座も、力を入れている取り組みのひとつです。区の後援を受けてこれまで14回開催している介護予防講座健康は足元から ~足のお手入れで快適生活!」では、看護師・フットケアワーカーであるご友人、御子柴さんを講師に迎え、足の運動や正しい爪の切り方についてわかりやすく伝えています。

また、「実際に施術を受けたい」という多くのご要望にお応えする形で御子柴さんによるフットケアサロンひまわり」を、月2回開催。現在では10名の方がリピーターとして通われ、爪や足のお手入れを継続されています。(スタンダードコース 約40分/3,500円(要予約)角質除去・爪切り・やすり仕上げ・保湿ケア)こちらも参加を希望される方は、新開地まで直接お問い合わせください。

人々の記憶を、未来へ

山梨県出身の鬼塚さんは、大学進学を機に上京し、東京新聞奨学生として新聞販売店で働きながら学生生活を送りました。 その後、同じ奨学生だった方と25歳で結婚。新聞社からの声かけを受け、夫婦で新聞販売店の経営を始めました。二男二女に恵まれ、家事と育児を両立しながら南千住での暮らしを築いていきましたが、夫は37歳という若さで急逝。 時にはまだ小学生だった子どもたちが配達を手伝い、販売店経営や集金、新聞奨学生の朝夕の賄いを行うなど、家族みんなで力を合わせて日々を乗り越えてきました。

慌ただしい日々を送る一方で、当時は新聞折り込みチラシによる地域情報が限られていたことから、「自分で発信しよう」と一念発起。1999年、地域の話題や暮らしに役立つ情報を盛り込んだ「みなみせんじゅまいたうん」を個人で創刊しました。

介護の仕事に携わるようになったことをきっかけに一度は執筆活動から離れますが、復刊を望む地域の声に後押しされ、2006年に地域情報紙「すまいるたうん」として再スタート。地域のお店の紹介や暮らしに役立つ情報を、自ら足を運んで取材し、執筆から発行まで一貫して手がけています。※バックナンバーはこちらからご覧いただけます。→https://www.ikitoen.com/library/smiletown

さらに、取材先でのアルバムとの出会いをきっかけに、それらの資料のデジタル化にも着手。「残さなくては消えてしまう情報を伝え続けたい。」という思いが、現在の活動の原動力になっています。

高齢者にも読みやすいよう、紙面の文字は大きめにするのも鬼塚さんのこだわり。「やってだめなら考える」をモットーに、ときには自ら1000世帯を訪ね、一軒ずつ挨拶に廻ったこともありました。そうした地道な努力が実を結び、現在「すまいるたうん」は東京新聞南千住専売所が配達する新聞に折り込まれる形で、地域のみなさんの元へ届けられています。

三の輪新開地-語り部の記憶― 1,400円(税込)

そうした長年の取材と執筆活動の集大成ともいえる一冊が、令和8年3月に発行された『三の輪新開地―語り部の記憶―』です。B5判144ページの大作には、地域で暮らしてきた13人の証言と、およそ200点に及ぶ貴重な写真を収録。失われつつある街の記憶を後世へ伝えるべく、一人ひとりの人生とともに地域の歴史を丁寧に記録しました。

区内全図書館に置かれることになり、6月22日には東京新聞の紙面でも紹介。地域史を未来へつなぐ取り組みとして注目を集めています。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/495842

一定数を販売しなければ採算が取れないことは承知の上。それでも鬼塚さんは、語り部たちの記憶を形に残すことに強い使命感を抱き、発行を決断しました。自宅にはフィルムスキャナーを2台備え、古い写真や映像をデジタル化。時には動画を1コマずつスクリーンショットしながら資料を収集することもあったそうです。

取材した方の中には、すでに鬼籍に入られた方もいるのだとか。「だからこそ、一人の胸の内だけにしまっておくにはもったいない話ばかりなんです。」約30年にわたり、地域の人々の声に耳を傾け、記録し、発信し続けてきた鬼塚さん。その姿は、私たち「荒川探訪」にとってもまさに大先輩と言えるでしょう。

イトーヨーカドーの屋上遊園地の写真や、花で装飾された都電荒川線の「宣伝カー花電車」などといった貴重な記録が満載の本誌。そこには、懐かしさを覚える人も多いであろう三ノ輪界隈の歴史がたくさん詰まっています。

例えば、最終電車の都電が「赤電」と呼ばれていたこと。天王祭では神輿を担ぐと入浴券が手渡されたこと。日本髪を結っていた時代の美容室では、落ちた髪を取りに来る“かもじ屋(付け毛屋)”が訪れていたこと。

さらに、弁天様が祀られる三ノ輪では蛇が神の使いとされる一方で、すぐ近くには「へび屋」と呼ばれる店が存在し、蛇の血を精力剤として販売していたという、今では想像もつかないような逸話も収録されています。

こうしたエピソードの数々は、インターネットでは決して拾うことのできない、土地に根ざした生きた記憶そのもの。昭和という時代に生きた人々のたくましさや愛らしさ、人間らしさが凝縮された一冊となっています。

日常の何気ない写真の中に、貴重な情報が潜んでいることも。ご自宅に地域の古い写真や資料をお持ちの方は、ぜひ「縁処 三ノ輪新開地」へお持ち寄りくださいね!

そもそも「三ノ輪 新開地」とは、大正から昭和初期にかけて、現在の荒川区南千住(ジョイフル三の輪商店街周辺)に存在した歓楽街(私娼街)の呼び名のこと。一見すると、なぜかつての“色町”の名称を店の名称に残したのかと、疑問に思う方もいるかもしれません。

当時、地元の人々はこの一帯を指して「新開地へ買い物へ行ってくる!」といった具合にやりとりをしていたのだとか。“新開地”という言葉には、昔から伝わる土地への親しみが込められているのです。

人と地域をつなぐ原動力

さまざまなチャレンジを続ける鬼塚さん。その根底には、介護の現場と地域情報の発信を長年にわたり並行して続けてきた、プロフェッショナルとしての確かな視点が息づいています。

「人生一度きり!」「今日できることは今日する!」
その言葉通り、鬼塚さんの行動には常に前向きなエネルギーが満ちています。

荒川区の人々へのメッセージを尋ねると「外に出ましょう!みなさんにとって気軽に立ち寄れる場所のひとつになりたいです。」と、楽しそうに語ってくれました。

営業日やイベントなどの最新情報は、縁処 三ノ輪新開地 公式サイト またはあらかわまちゼミ Instagramをチェック!

昔ながらのものを大切にしながらも、新しいことに柔軟に向き合う姿勢。そして、人や地域、記憶と真摯に向き合い続けるその活動は、関わり合う人々を巻き込みながら、これからもめざましく発展していくに違いありません。

縁処 三ノ輪新開地
住所:東京都荒川区南千住1-28-9(ジョイフル三の輪商店街内)
お問い合わせ先:ikitoen@outlook.com
営業時間:9:00~18:00
定休日:水曜日


モノづくりの街・荒川の地域情報サイト「荒川探訪」では、荒川区の気になる情報をご紹介しています。
もし、荒川区の耳寄り情報や皆さんのオススメのお店などご推薦がありましたら、ぜひお気軽に荒川探訪編集部まで情報をお寄せください。もちろん、自分のお店を取材して欲しい、話を聞いて欲しいというご依頼も大歓迎です!
荒川探訪への情報提供・掲載依頼はお問い合わせフォームからお願いします。

荒川探訪のSNSもチェック!
各種SNSの「荒川探訪」アカウントへの投稿、コメント欄への書き込みでもOKです。
Facebook:https://www.facebook.com/ara.tanbou
Instagram:https://www.instagram.com/arakawa.news
Twitter:https://twitter.com/arakawanews

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP