荒川区民に「荒川グルメといえば?」と尋ねると、多くの人が「もんじゃ焼き」と答えます。
荒川区はもんじゃ発祥の地ですよ、と区民は聞かされて育つのですが、都内に住む多くの人は「もんじゃ焼きと言えば月島(東京都中央区)」と思っていることでしょう。発祥であろうがなかろうが、荒川区のもんじゃは美味しい。下町の雰囲気も含めてもやはり一番美味しいのです。食の楽しみ方はひとぞれぞれ。特別な何かは無いけれど、ちょっと個性的だったり、変わっていたり、ほっとひと息つける場所。そんなモノづくりの街・荒川を支えるグルメを探訪してご紹介していくコーナー、それが「荒川グルメ探訪」です。
昭和レトロな雰囲気が魅力!
このたびご紹介するのは日暮里駅南口から徒歩2分、アートホテル日暮里ラングウッドの向かいに位置する「レストラン オックス」。創業から50年以上もの間、地元の人々に愛され続ける老舗の洋食屋さんです。レトロでかわいいイラストの看板は、開店当時のままのデザイン。お店の扉を開けると、広々とした店内にはバーのようなカウンター席や、ゆったりくつろげるソファ席も用意されています。
かわいらしいコックさんのイラストが 開店当時からオックスのシンボル。 おっくすの「お」の字にも特徴があります。
店名の由来は“オックス”(雄牛)。看板には“おっくす”とありますが、カタカナとひらがなどちらが正解ですか?とマスターに尋ねると…「どちらでも大丈夫!」との回答をいただきました。牛肉を使う洋食屋ならではの意味合いかと思いきや、実はマスターである佐藤忠男さんのご実家は岩手の牛方。牛を使い金銀採掘や木材を運ぶのが生業で、そのような背景が店名の由来となっているそうです。
栄養満点!本格的な洋食メニュー
現在、荒川区では食環境整備事業として女子栄養大学短期大学部と連携し、健康に配慮した「あらかわ満点メニュー」を開発し、区内の各飲食店で販売しています。「レストラン オックス」ではボリューム満点の「彩りステーキ丼セット」と、「オックス特製カニオムレツセット」を提供。荒川探訪でも実際に、オックスが誇る栄養満点のメニューをオーダーしてみました。
以前荒川探訪でご紹介したタイ料理 Sol Bangkokでも、スパイシーなタイ風焼きそば「パッキーマオ」をあらかわ満点メニューとして提供中。ぜひ、こちらもチェックしてみてくださいね!
彩りステーキ丼セット ¥1,980 (税込) サラダ・みそ汁・コーヒー付き
ジューシーなお肉とたくさんのお野菜がのった栄養満点の「彩りステーキ丼セット」。注文が入るとマスターが包丁をササッと研ぎ、お肉の塊から一人分を切り分けます。手際よく筋切りをして塩コショウを振りかけたら、焼き加減はミディアム。パプリカ、玉ねぎ、ズッキーニ…と、野菜たっぷりのソテーをアツアツご飯の上にのせ、そぎ切りにしたボリューム満点のお肉を贅沢に盛り付けます。生姜とりんごをすりおろした爽やかな甘味の自家製ダレが焼きたてのお肉にじんわり。わざわざ遠方からこちらのステーキを食べるために足を運ぶ人もいるのだそうですよ!
カニオムレツセット ¥1,380 (税込) サラダ・ごはん・みそ汁付き
お次に紹介するのは、 同じくあらかわ満点メニューに登録されている「カニオムレツセット 」。トントンと絶妙な返しで整えられたオムレツは、ズワイガニの風味が特別感を感じさせてくれるメニューです。昨今注目を集めるふわトロオムレツも素敵ですが、オーソドックスなオムレツが食べたいと思う方も多いのでは?洋食の世界では習得するまでにステーキ3年、オムレツ9年と言われているのだそう。熟練の技で仕上げたオムレツをぜひお楽しみくださいね!
ミックスフライ定食 ¥1,880 (税込) ごはん・みそ汁付き
あらかわ満点メニューに加えて今回オーダーしたのは、本日のおすすめメニューから「ミックスフライ定食」。大きなぷりぷりのエビとホタテ、ヒレの3種類が贅沢に盛られたオックス自慢のメニューです。注文を受けてからマスターが手慣れた様子でパン粉をまぶし、サクサクに揚げていきます。お皿に盛られたタルタルソースも自家製というこだわりよう。材料に使うのはケッパー、ディル、ピクルスにレモンの皮…と、惜しむことなく教えてくださいました。レモンの皮で使用するのは白い部分をのぞいたピールのみ。某有名ホテル直伝のレシピを参考にしているそうです。
日替わりのおすすめメニューは、食材を無駄にすることのないよう前日の“ひらめき”で決定。セットに含まれるみそ汁やサラダもお楽しみのひとつです。自家製のドレッシングはオニオンとガーリックのみを使用したシンプルな美味しさ。美容に良いからとお猪口で飲みたがる人もいるのだそうですよ!
兄弟シェフが作り出す熟練の味
「仲は良くないよ!」といいながらも 息のあった様子のご兄弟。 「うちのソースやドレッシングは全部弟が作っているんだよ!」と、 誇らしげなお兄様の姿もありました。
お店を切り盛りするのは岩手出身のご兄弟と奥さんたち。8人兄弟の5番目であるというオックスのマスター佐藤忠男さんに、末っ子の英治さん。お知り合いの紹介をきっかけに東京へ移住し、20代の頃に荒川区内の厨房で働き始めました。後に近くで小さなお店を開きましたが、広くて立地の良い今の場所が空いたことから「レストラン オックス」を開業。およそ50年もの間、変わらぬ場所で厨房に立ち続けています。ホテルの隣で何十年も洋食屋を続けられていることも美味しさを裏付けるポイントのひとつ。お隣のホテルでは大きな会合が行われることもあるため、帰りに立ち寄る人も多いそうですよ。
「美味しいものは永遠に絶えない人生の悦びである。」店内には、日本でフランス料理を広めたことで有名なムッシュ村上氏(村上信夫)の直筆サインが飾られています。マスターである佐藤さんは村上氏の主催する料理教室で講習を受けていたこともあるのだそう。お店の一角にはその際に贈られた「最優秀会員認定証」や「特別感謝状」も一緒に飾られています。
ランチとディナーの間の時間も電話が鳴りせわしなくメモに書き込んでいくおふたり。先日荒川探訪スタッフがお電話をした時もお忙しそうなご様子でしたが「ちょっと今盛り上がっちゃっててね…」とのこと。忙しい!と言わない姿勢にも、半世紀続く人気レストランとしての気概を感じることができました。
“いい意味で昭和”がオックスのキャッチフレーズ。 大相撲の日はいつもより開店が30分ほど遅めなのだとか。 「料理へのこだわり?特にないよ!」 “いい意味で適当”なのも、マスターの魅力です。
ステージ4のガンを乗り越えた御年82歳のマスター。エプロンを締め直す顔はキリリと真剣そのものです。お酒が元気の秘訣、仕事がリハビリなのだそう。「人生色々あるけれど、前向きにやっていればなんとかなるよ。」と、話してくださいました。
肉屋、八百屋、酒屋においてもお店で使う食材は全て信頼できる荒川区内のお店から。昔からのお付き合いを大切に、愛され続けるオックスの味を守ります。ひとしきりお話を終えると「ディナータイムに向けて昼寝するよ」と奥に戻っていくマスター。お忙しい合間を縫ってインタビュー取材にご協力いただきありがとうございました!
「料理は楽に楽しく、美味しいものを。」をモットーに掲げながらも、タレやソースなど細部にまでこだわる老舗の洋食屋さん。熟練の兄弟シェフが作り出す至福の料理を味わいに、ぜひ一度足を運んでみてくださいね!
レストラン オックス
営業時間:ランチ11:30~14:30 ディナー17:00~21:00 (※日によって異なることがあります。)
休業日:日曜日 年末年始
TEL:03-6806-6617
住所:東京都荒川区東日暮里5-48-5 光陽社ビル1F
モノづくりの街・荒川の地域情報サイト「荒川探訪」では、荒川区の気になる情報をご紹介しています。
もし、荒川区の耳寄り情報や皆さんのオススメのお店などご推薦がありましたら、ぜひお気軽に荒川探訪編集部まで情報をお寄せください。もちろん、自分のお店を取材して欲しい、話を聞いて欲しいというご依頼も大歓迎です!
荒川探訪への情報提供・掲載依頼はお問い合わせフォームからお願いします。
これまでに取材したお店などのスポットは荒川探訪マップにまとめています。付近の散策や荒川探訪ルートを考えたりするのにぜひご活用ください。
荒川探訪のSNSもチェック!
各種SNSの「荒川探訪」アカウントへの投稿、コメント欄への書き込みでもOKです。
Facebook:https://www.facebook.com/ara.tanbou
Instagram:https://www.instagram.com/arakawa.news
Twitter:https://twitter.com/arakawanews