
②世界にひとつだけのリメイク品
荒川区のすぐれた技術、製品を内外に力強くアピールするために誕生した『ara!kawa』。「あら、かわってる。あら、かわいい。」をコンセプトに、荒川区でのモノづくりを応援しています。このたびの荒川探訪では、令和7年度『ara!kawa』認定商品に選ばれた「思い出のミニランドセル」をご紹介。梅田皮革工芸の工房を訪問し、製品や荒川区でのモノづくりに対する想いを伺ってきました。
思い出を残す!ミニランドセルとは
ミニランドセルリメイク 24,800円(税込)
このたび荒川探訪が取材に訪れたのは、使わなくなったランドセルをかわいらしいミニランドセルへと生まれ変わらせる「梅田皮革工芸」。2001年設立の工房で、荒川探訪では2025年4月にも取材に伺い、モノづくりへの想いをお聞きしました。
一般的なミニランドセルは、カブセ(ふた部分)から各パーツを作り出すものが多い一方、梅田皮革工芸では元のランドセルのパーツをできる限り活かして製作しているのが特徴。肩ベルトや金具に付いた傷や擦れも、ご希望に応じてそのままに活かします。完成するミニランドセルは元の約4分の1のサイズ。場所をとらずに飾ることができ、懐かしい思い出をいつまでも残せます。

今年も卒業シーズンを終え、多くのランドセルが届いた梅田皮革工芸。依頼が集中したのは5月頃で、今年は有名校のランドセルも数多く寄せられたそうです。この日作業が進められていたのは、姉妹おそろいでの加工依頼で送られてきたかわいらしいランドセル。華やかな刺繍部分も丁寧に活かされ、世界にひとつだけの品へと生まれ変わります。
ランドセル選びの“ラン活”エピソードや、ランドセルを使っていたお子様がどんな子だったのか、といったエピソードも、ミニランドセル作りの大切な“パーツ”。これまでには、お子さんとのお別れを経験されたご家族から、思い出の品としてミニランドセル製作を依頼されたこともありました。ひとつひとつの背景を知ることで、その子のためだけの一点ものを。より心を込めて製作に当たることができるといいます。

普通サイズのランドセルも一から作ってしまうという寺岡さん。ふたりのお子さんには、こだわりのヌメ革で姉妹お揃いのものを作りました。小学校を卒業されたことでひとつはミニランドセルに姿をかえたばかり。大きさも比較するとよくお分かりいただけることでしょう。
裏地にはかわいらしいキティちゃん柄をチョイス! 手作りならでは、世界にひとつだけのランドセルです。

かわいらしいミニランドセルを開けてみると、名札やキーホルダーなどの宝物がたくさん!こまごまとした宝物を入れておくにもジャストなサイズ感です。
工房内では、荒川区のシンボルキャラクター“あら坊”“あらみい”のカバーがかけられたミニランドセルを発見!荒川区の小学一年生に防犯目的で配られるもので、こちらもランドセル同様ミニチュアサイズに生まれ変わっていました。
1日にひとつだけ!ミニランドセルができるまで

ミニランドセル作りは、まず肩ベルトを切り離し、ランドセルを箱のように解体し平らな状態へ戻すところから始まります。カブセ(ふた部分)の縁も一つひとつ丁寧に取り外し、傷や擦れも思い出としてそのままに活かします。使い込まれた鋲(びょう)などの金具も、再利用できるものはできる限り再使用。接着には、靴づくりにも用いられるゴムのりを使い、専用のローラーで革と裏地をしっかりと貼り合わせていきます。

大きな裁断機はオーストラリア製の機械で、てこの原理を利用して生地を裁断するというもの。通常時は特注の抜き型で裁断していきますが、中には型に収まらないデザインのランドセルも。そんな時は長年の経験を活かし、手作業で臨機応変に対応しています。

元のランドセルから取り外したパーツを大切にし、使える部品は可能な限り再利用。丁寧に縫い目をほどき、元の縫い穴を一針ずつ手縫いで拾っていく独自の製法を採用しています。前回の取材では実際に縫製する様子を見学しましたが、今回は電動ドリル(ドリルドライバー)でビスを豪快に外す場面も披露してくださいました。繊細な作業と力仕事、その両方が求められる職人の仕事です。

ランドセルを解体すると、中から思わぬ“宝物”が見つかることもあるのだそう。飼い猫の毛や鉛筆の芯など、6年間の学校生活を物語る小さな忘れ物が出てくることも珍しくないそうで、「どんなものが出てくるか楽しみなんです」と寺岡さん。この日預かっていたランドセルは、とてもきれいに使われていたのでしょう。「何も出てこなかったですね」と、少し残念そうに笑っていました。

これまで数千個ものランドセルをミニランドセルへと生まれ変わらせてきた寺岡さん。それでも1日に手掛けるランドセルはひとつだけと決めています。「大切に預かったものだから。焦らず、丁寧に作りたいんです。」そんな言葉からも、ひとつひとつのランドセルと真摯に向き合う姿勢が伝わってきました。
ランドセルのみならず、塾かばんや幼稚園バッグなどのミニチュア化オーダーも人気。革製品はもちろん、キャンバス地やビニール素材にも対応しています。ただし、加水分解が進んでいたり傷みが激しいものは加工が難しい場合も。まずはお気軽に問い合わせてみてください。
数え切れないほどのランドセルを解体してきた寺岡さん。「あらゆる型を研究し放題!」と笑います。ブランドごとに素材や構造、縫製方法が異なるため「こんな場所にこんな素材を使っているんだ」と新たな発見が今でもあるそうです。リメイクを重ねるたびに、ランドセルへの知識もさらに深まるばかり。その経験が次の一品へと活かされています。
認定商品から広がる、ものづくりの未来

今回、荒川探訪が改めて梅田皮革工芸を訪れたのは、ミニランドセルが令和7年度『ara!kawa』認定商品に選ばれたことがきっかけ。約1年ぶりに訪れた工房には、以前と変わらない穏やかな空気が流れていました。しかし、その間にも寺岡さんにはさまざまな変化があったご様子。区のメディアで紹介されたことで「見たよ!」と同級生から連絡をもらう機会も増えたそうです。
この春、工房のすぐ近くにある自宅の隣室が空いたことをきっかけにお引越しをしたという寺岡さん。都内では珍しい離れのある住まいで、今ではその部屋を活用した新たな構想を描いています。
それが、ミニランドセル作りを体験できるワークショップ。寺岡さんが普段行っている製作工程の一部を、お子さんやご家族が一緒に体験できるというものです。親子で、もしくはランドセルを贈ってくれたおじいちゃんおばあちゃんと一緒に作品を作ることができれば、リメイクそのものが新たな思い出に。詳しい内容は、また近いうちに荒川探訪でもご紹介できる日がくるかもしれません。

『ara!kawa』認定商品への応募は、区の経営支援課から声をかけられたことがきっかけでしたが、本当に認定されるのだろうかと半信半疑だったのだそう。正式に認定を受けたことで区からのバックアップも得られ、新しいことに挑戦したいという気持ちが一層強くなったと話します。
現在は、さらに技術を磨くため革小物づくりの教室にも通い、財布など新たなアイテムの製作にも挑戦中。ランドセルとは異なる工程の難しさを実感しながらも、新たな技術を吸収しています。また、作品づくりだけでなく、教室の運営方法なども学び、今後の活動に活かしたいと考えているのだとか。「他のエリアにはないモノづくりができるのが荒川です!」と、寺岡さんは話します。

寺岡孝子さんは、荒川区が誇る“荒川マイスター”のおひとり。長年にわたり培った高度な技術と技能を持ち、後進の育成にも力を注ぐ職人として認定されています。「次に狙うは東京マイスターですね!」思い出を未来へつなぐミニランドセルとともに、寺岡さん自身のものづくりも、これからさらに進化していきそうです。

6年間、お子さんとともに過ごしたランドセルとの思い出を、新たな形で未来へ。そんな選択肢を、梅田皮革工芸は届けてくれています。ご希望の際には、公式ホームページのお申し込みフォームから!細かいご相談はLINEでも受け付けています。
7月末~8月にはモノフェスと地域のイベントにも多数出展予定!詳しくは公式インスタグラムをご覧くださいね。
梅田皮革工芸
住所:東京都荒川区南千住3-41-1-106
ホームページ:https://hakodateume.com/
インスタグラム : https://www.instagram.com/hakodateume
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裏地にはかわいらしいキティちゃん柄をチョイス!
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