荒川区のすぐれた技術、製品を内外に力強くアピールするために誕生した「ara!kawa」。「あら、かわってる。あら、かわいい。」をコンセプトに、荒川区でのモノづくりを応援するブランドです。このたびの荒川探訪では、令和5年度「ara!kawa」認定商品に選ばれた「BOOK NOTE」と、令和4年度に選ばれた「えぽっけ」を前編・後編に分けてご紹介。製造・販売元である渡邉製本株式会社のオフィスを訪問し、製品や荒川区でのモノづくりに関する想いを伺ってきました。
思い出をしまいっぱなしにしない!
かわいらしいポケットフレーム
渡邉製本株式会社は、あらゆる本を顧客に提供する“製本のコンサルタント”。前編ではその技術と製本にかける想い、自社製品である「BOOK NOTE」の魅力をご紹介しました。詳しくは前編をチェック!
後編では渡邉製本が手掛ける自社製品のひとつ、「えぽっけ」の魅力をご紹介いたします。 家族間でのコミュニケーションに役立つものを作りたいという思いから開発された、渡邉製本のオリジナル商品。窓付きのポケットフレームに八つ切り画用紙をそのまま収納できる、アルバムのようなアイテムです。
フチまで落書きすることができるので、日付やメッセージも書き添えて。付属のゴムバンドで束ねれば、まとめて本棚にしまうことも可能です。ワインのラベルや切符やチケット、大人になってからの思い出もしっかりキープ!一枚一枚が取り外せるので、立てかけてお部屋に飾ることも可能です。
左から順に、 ペールカラー 玉子 ¥4,730 ペールカラー すみれ ¥4,730 ペールカラー メロン ¥4,730 ネオンカラー フラミンゴ ¥4,950 ネオンカラー シトロン ¥4,950 ネオンカラー ターコイズ ¥4,950
えぽっけのセット内容は、表紙・ゴムバンド・ポケットフレーム8枚の計3点。中身を増やしたい方は、フレームの追加購入も可能です。現在、荒川探訪商店で販売しているのは、かわいらしいネーミングの定番色に、鮮やかなネオンカラーを加えた全6色。現在ユーザ―からのリクエストを受け、A4の商品も試作中です。
えぽっけが生まれるまで
写真の保護にも役立つ、えぽっけ。 渡邉製本株式会社の歴史ある写真や書類の数々も ポケットフレームの中で大切に保管されていました。
えぽっけは、渡邉社長の娘さんである河合枝里子さんが開発に加わるかたちで完成させた自社製品。もともとは全く異なる業種で勤めていた河合さんですが、父親が代表、母親が専務を務めるこの会社で自分も働きたいと打診します。
当時は、製本業界の売れ行きが低迷していたことからも他の業種を進められたという河合さん。やがて時は経ち、母親が自社製品の開発に携わるようになったことをきっかけに、自社広報企画や広報に加わるようになりました。斬新なアイデアでありそうでなかったアイテムを。歴史ある渡邉製本に、新しい風を吹き込みます。
コロナ禍に家の片付けをしていた頃の話。河合さんの幼少期の頃の作品を前に、母子で当時を振り返るひとときがありました。中には絵が剥がれてしまっていたりと劣化が著しいものも。「時が経っても思い出を取り出せるようなアイテムがあれば。」そんな家族での会話が商品開発のきっかけです。
かわいいお子さんの制作物は、収納場所に困るというのがいつの世もパパママの悩みの種。スマートフォンで写真に残して処分するという方法もありますが、親御さんの携帯の中にしまわれたままになりがちです。
親子でいつでも一緒に見返せることが今回ご紹介するえぽっけの魅力。現在では前半でご紹介したBOOK NOTEと共に、荒川区のふるさと納税返礼品にもなっています。
ぬくもりを大切に。
国産用紙にかけた想い
商品の構想は浮かんだものの、どのように具現化していくか。子供向けの商品は専門のグッズに力を入れている会社にはかなわない!と、最初の壁にぶつかったという河合さん。事業に関する相談を専門家に持ちかけたところ“綴じる”という概念から離れてみては、と助言を受けました。
製本会社のコンセプトから離脱した、“綴じない”という逆転の発想が商品開発における大きなヒント。材料や加工先に関しては、製本のプロフェッショナルである社長にアドバイスを求めました。
ゴム紐をひっかけるスリット部分が微調整に一番苦労した部分。ゴムバンドの太さも繰り返し調整しました。窓部分に使用したのは厚みのある塩ビ板。四隅に角丸が付けられていることも、大切なユーザーであるお子さんへの思いやりです。
製造に関しては、信頼できる外部の協力会社に委託。もちろん最終的なセットアップは、綴じることを得意とする自社内で行っています。
商品の材料に選んだのはやはり、上質な国産用紙。劣化しがちな材料ではありますが、多くのお子さんに紙の扱いを学びながら親しんでほしい。長年紙に携わる父母を見てきた河合さんならではの、紙に対する愛情です。
紆余曲折を経て完成したえぽっけですが、「作ったところからがスタート」と語る河合さん。幼稚園・保育園からのOEMや共同購入、通販カタログやオンラインギフトアイテムを取り扱うサイトへの掲載など、商品を知ってもらうために奔走します。ファミリー向けの商業施設では、お絵描きした作品をえぽっけにしまって持ち帰れるようなワークショップも開催。多くの親子連れが集まりました。
お孫さんからもらった絵を飾っておきたいというおじいちゃんやおばあちゃんへのプレゼントにも。コレクションにしていくことで、お子さんの絵を描きたいというモチベーションも高まります。今後は、子供の教育に熱心なアジア諸国にも広めていきたい。世界にはばたくBOOK NOTEの背中を追いかけます。
認定商品に仲間入り!
持ち歩きに便利なyokobon
4色展開のyokobonスケッチノート ¥2,200 上からブルーアッシュ、オリーブ サンドグレー、ディープレッド
BOOK NOTEの流れを受けて作られた「yokobonスケッチノート」も現在渡邉製本が力を入れている商品のひとつ。令和7年1月に発表会が開催された「令和6年度ara!kawa認定商品」として、新たに認定商品に加わりました。ここでは最後に少しだけ、yokobonの魅力をご紹介。開きの良さや書きやすさはそのままに、持ち運ぶことを想定した商品です。
BOOK NOTEとの大きな違いは、背表紙の綴じ目をあえて見せた作りであること。ゴムバンドで閉じてあるのでカバンの中でも折れてしまうことがありません。気楽にスケッチを楽しんだり、アイデアをストックするのにも最適。“描きたい欲”をいつでもどこでも満たせます。
背表紙の角までもが丸く切り取られていることは、実は作業工程における河合さんのうっかりミス。実際に展示会で販売してみると、四隅に丸みがあるものの方が人気であったのだとか。見開くと中心にくびれができて、キュートな印象。アクシデントから生まれたかわいらしいデザインです。
実の親子である渡邉社長と河合さん。工場内ではあくまでもビジネスライクな会話が交わされています。取材を進めていくにつれ「写真撮るなら、あっちの作業着のがいいんじゃない?」と、いった具合に親子らしい一コマも。喧嘩もしばしばだとは言いますが、そこには製本技術に対する自信と紙製品に対する愛情を持った親子の姿がありました。
今後も確かな知識と技術で世の中に素晴らしい製品を送り出してくれるであろう渡邉製本株式会社。今回の荒川探訪では、現場における技術や想い、オリジナル製品の魅力を前編・後編に分けてご紹介いたしました!
渡邉製本株式会社
住所:東京都荒川区東日暮里3-4-2
電話番号:03-3802-8381
ホームページ:https://www.watanabeseihon.com/
えぽっけホームページ:https://epocke.jp/
Facebook:渡邉製本株式会社
Instagram:@booknotemania/
X:@booknote_tokyo
モノづくりの街・荒川の地域情報サイト「荒川探訪」では、荒川区の気になる情報をご紹介しています。
もし、荒川区の耳寄り情報や皆さんのオススメのお店などご推薦がありましたら、ぜひお気軽に荒川探訪編集部まで情報をお寄せください。もちろん、自分のお店を取材して欲しい、話を聞いて欲しいというご依頼も大歓迎です!
荒川探訪への情報提供・掲載依頼はお問い合わせフォームからお願いします。
これまでに取材したお店などのスポットは荒川探訪マップにまとめています。付近の散策や荒川探訪ルートを考えたりするのにぜひご活用ください。
荒川探訪のSNSもチェック!
各種SNSの「荒川探訪」アカウントへの投稿、コメント欄への書き込みでもOKです。
Facebook:https://www.facebook.com/ara.tanbou
Instagram:https://www.instagram.com/arakawa.news
Twitter:https://twitter.com/arakawanews