荒川区民に「荒川グルメといえば?」と尋ねると、多くの人が「もんじゃ焼き」と答えます。
荒川区はもんじゃ発祥の地ですよ、と区民は聞かされて育つのですが、都内に住む多くの人は「もんじゃ焼きと言えば月島(東京都中央区)」と思っていることでしょう。発祥であろうがなかろうが、荒川区のもんじゃは美味しい。下町の雰囲気も含めてもやはり一番美味しいのです。食の楽しみ方はひとぞれぞれ。特別な何かは無いけれど、ちょっと個性的だったり、変わっていたり、ほっとひと息つける場所。そんなモノづくりの街・荒川を支えるグルメを探訪してご紹介していくコーナー、それが「荒川グルメ探訪」です。
JR山手線に東京メトロ、日暮里・舎人ライナーの乗り入れる西日暮里駅出口から歩いてすぐ。このたび荒川探訪が取材に訪れたのは、創業から半世紀もの歴史を誇る老舗のスペイン料理レストランです。本格的なステージでは毎日のようにフラメンコのショーを開催。本場スペインで修行を積んだオーナーシェフによる珠玉のスペイン料理も必食です!
店内は半世紀前のまま!老舗のスペイン料理レストラン
1971年創業のアルハムブラ。今の場所に店舗を移したのは、それから5年後の1976年に遡ります。荒川区に縁のあったオーナーが、地域のつながりをきっかけにこの場所に入居したのがお店のはじまり。半世紀もの歴史を誇る店舗ですが、内装は創業当時のまま手を加えずにいるそうです。スペインの下町をモチーフにして作られたというレンガ造りの店内。情熱のフラメンコにぴったりの赤を基調にした空間が広がります。席数は全部で86席。階段上の特別席を利用すれば、最大100名ものお客さんを収容できるそうですよ!
昭和期の代表的作曲家、古賀政男氏との関わりもあったアルハムブラ。 店名をアルハンブラではなく「アルハムブラ」としたことも、 音楽的な響きなどの意味合いが関係しているようです。
「ゆったりとした重厚感のある客席」
「音響、照明、ステージの3拍子で、お客様の大切な時間を演出」がアルハムブラのコンセプト。
普段のお食事とはちょっぴり違う、非日常のひとときが味わえます。
数々の映画やコマーシャルのロケ地としても使用されているアルハムブラの店内。 福山雅治さんと石田ゆり子さん主演「マチネの終わりに」では、 こちらのバーカウンターが登場します。
現在店長兼オーナーシェフを務めるのは、アルハムブラのオーナーと40年もの親交があるという立花俊夫さん。フラメンコに造詣があるわけではなかったそうですが、その手腕を買われてお店の経営を任されます。幼少期を南米パラグアイで過ごした立花さんはスペイン語がネイティブレベル。日本で料理の専門学校に通った後は、渡西してミシュラン掲載の三ツ星レストランで著名なオーナーシェフに師事しました。帰国後は、銀座の名店で18年もの間料理長を務め、2011年にアルハムブラのオーナーシェフに就任。現在では世界レベルの味を、ここ西日暮里の地で提供しています。
ショーの企画やブッキングを和やかに進めることができるのも、穏やかで誠実な立花さんのお人柄あってこそ。料理はもちろん当日の照明・音響にいたるまで、全体を統括しながら訪れるお客さんに気を配ります。
本場の味を西日暮里で!珠玉のスペイン料理
サングリア グラス 900円(税込) アルハムブラオリジナルのサングリアは、立花さんがスペインでの修行中に入手したレシピ。 現在の上皇陛下も渡西した際に召し上がったものであるそうです。
18時の開店時間になると平日でも満席状態の店内。料理をサービスするウェイターやキッチンスタッフにも、スペイン人のスタッフが多いことに気が付きます。それも全てスペインからのアーティストが訪れても対応できるようにといった配慮から。店内でも本場さながら、スペイン語での会話が飛び交います。
まずは自家製のサングリアで乾杯!生の果汁とスパイスを使用した、アルハムブラオリジナルのテイストです。
お一人様でご来店されたお客様専用コース 4,300円(税込) 手前から時計回りに魚介類のパエリア、若鶏の煮込み、 イベリコ豚の生ハムと腸詰の盛り合わせ、ミックスサラダ。
コースのデザート(日によって内容は異なります。)
お得なコース料理はひとり当たり4500円~8500円(税込)※別途ショーチャージ と、予算や希望に応じて選べるのが嬉しいポイント。基本的には、2名分から注文が可能です。8500円のエスパーニャコースは、3営業日前までに予約が必要。お一人でも気軽に訪れることができるようにと、専用のコースも用意されています。イベリコ豚の生ハムと腸詰の盛り合わせ、マスタードの効いたスモークサーモン入りのミックスサラダに、ほろほろに煮込んだ若鶏の煮込み。お店の看板商品でもある魚介類のパエリアは、かわいらしい一人用の鍋で提供されています。パンはソースにディップして食べるのがスペイン流。食後にはかわいらしいデザート付きという充実の内容です。※コース料理は仕入れの都合等により一部変更になることがあります。
パエリア 2人前 4,400円(税込)
バレンシア国際パエリア大会で世界第2位を受賞したアルハムブラの「魚介パエリア」は、言うまでもなくお店の看板メニュー。オリーブオイルで炒めたシーフードにお米と秘伝のスープを投入し、下のオーブンで20分ほど炊き上げます。見た目も美しく具材のバランスを整えて、魚介の旨味が沁み込んだ至高のパエリアの出来上がりです。鍋に張り付いたソカラ(おこげ)もスプーンでこそぎ取って残さず食べるのが本場流。分からないことがあれば、いつでもフレンドリーなスタッフがサポートしてくれますよ!
タパス(おつまみ)の盛り合わせ 2,300円(税込)
ここから紹介するのは、お店で提供しているアラカルトメニューの数々。コース料理が食べきれるか不安!という人は、お好きなものをお好きなだけ注文しましょう。「タパス(おつまみ)の盛り合わせ」には、 生ハムや腸詰め、オリーブにチーズ、オイルサーディン。小指ほどの大きさの「ピコス」というパンに、スペイン風の焼野菜「エスカリバダ」が盛られています。
海老のアヒージョ 1,950円(税込)
ぷりぷりとした海老の食感が楽しい「海老のアヒージョ」。にんにくの香りたっぷりのオイルはパンでディップしていただきましょう。お酒好きにはぜひともおすすめしたい逸品。ワインやビールがスイスイと進みます。
スペインオムレツ 2,000円(税込)
スペインの国民的料理である「スペインオムレツ」通称トルティージャ。ふわふわの卵に、ほくほくとしたジャガイモが入っていることが特徴です。アルハムブラのスペインオムレツには、にんにく風味のマヨネーズがトッピングされていることがポイント。ボリュームたっぷりのメニューであるため、何名かでシェアするのがおすすめですよ!
牛ミノの煮込みマドリッド風 (11月~2月) 2,500円(税込)
期間限定のメニュー「牛ミノの煮込みマドリッド風」。日本でいうところのモツ煮込み、イタリアでは「トリッパ」の名で親しまれています。柔らかく煮込んだお肉に、ちょっぴりスパイシーなトマトソース。下処理に3日かかるため、現在では作っているお店も少ないそうですよ!
サービス精神旺盛なスタッフたちによる、楽しいお食事タイム。希望があれば、追加料金でバースデープレートにも対応してくれます。スペイン産のワインやビール、アルコール類も充実!ぜひお誕生日や記念日など、特別な日にご利用くださいね。
迫力満点のフラメンコショー
アルハムブラのコンセプトでもある「音響・照明・ステージの3拍子」。 3つ揃って初めて最高の舞台が完成します。お店の内装は創業当時のまま。 激しいダンスが繰り広げられるステージ部分のみ、 3年に1度リニューアル工事が行われているそうです。
ほぼ毎日のようにショーが開催されるアルハンブラ。平日は18時前後に開場となります。平日であっても開演前にはほぼ満席状態。ショーチャージは一人あたり3500円~7000円と、企画によって異なります。ドレスコードが定められているわけではありませんが、心なしかお洒落をしたお客さんたちでにぎわう店内。1時間ほどゆっくりとお食事や会話を楽しんだ頃に、いよいよショーの開演です。
フラメンコは、15世紀中頃、スペインの南部アンダルシア地方に移住してきたジプシーによって生み出された伝統芸能。2010年にはスペインの無形文化遺産に登録されました。ギター奏者のトケと歌い手のカンテ、ダンサーを意味するバイラの3要素で構成。スペインに次いでフラメンコ人口の多い国は、日本であるという説もあるそうですよ!この日のオープニング曲は、セビリアのお祭り曲「Sevillanas」。5名の踊り手さんが順々に個々の演目を踊り、2部構成でのショーが披露されました。
ギター奏者でありショーの企画者であるエミリオさんは、マスターの古くからのご友人。流暢なスペイン語での会話が交わされています。琴線に触れるようなギターの音色に酔いしれて。後ろの席まで届くカンテのソウルフルな歌声や、ダンサー同士による「オレ!」という掛け声がステージを盛り上げます。テクニカルなステップと緩急のある優美なダンス。扇子などの小物使いや途中での衣装チェンジも見どころです。フラメンコはスペインでは生き方そのものといわれているのだそう。ダンサーひとりひとりの個性にも注目してくださいね!
エンディング曲は、観客を家路に送り出す歌「Fin de fiesta」。 この日ステージを盛り上げていたのはEmilio Maya企画の皆さんでした。 バイラ:近藤裕香さん、JURINAさん、高野泉さん、 原田真夕子さん、川田久美子さん、川澤チャフェイさん カンテ:永井正由美さん、福田加弥子さん ギター:Emilio Mayaさん (順不同)
時には海外から世界レベルのアーティストが訪れることもあるというアルハムブラ。フラメンコにかかわらずベリーダンスやアルゼンチンタンゴ、日本舞踊まで様々な催しが行われています。日本全国津々浦々からプロのダンサーたちが訪れるため、遠方から訪れるお客さんも多いのだとか。荒川区内での認知度はまだまだ足りないことから、今後は地域のお客様にもより多く訪れてもらいたいとのことでした。
同敷地内にある30席ほどの姉妹店。 気軽にお酒をのめるカジュアルな空間の、 スペイン居酒屋「エル・フエゴ」もおすすめです。
スペイン語とフラメンコの音色が心地よいアルハムブラは、本場を訪れたような気分が味わえる夢のような空間。知識や経験がなくとも楽しめるのが、音楽やダンスの美点です。本格的なスペイン料理とハイクオリティのショーを堪能しに、ぜひ西日暮里駅前のアルハムブラへ足をお運びくださいね。
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アルハムブラ
営業時間:ランチ 11:45~14:30 (料理L.O. 13:30 ドリンクL.O. 14:00)
ディナー 18:00~22:00 (料理L.O. 20:30 ドリンクL.O. 21:00)
休業日:月曜定休、夏季休暇、年末年始
TEL:03-3806-5017
住所:東京都荒川区西日暮里5-23-6 ホワイトハウスビル1F
モノづくりの街・荒川の地域情報サイト「荒川探訪」では、荒川区の気になる情報をご紹介しています。
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